氷ノ山戸倉コース

 土曜は今年初めての氷ノ山。戸倉峠から長大な県境尾根を登って三ノ丸に至る戸倉コースへ。ライブカメラで確認していたが、戸倉トンネル手前から入る旧道はきれいに除雪され、それは意外にも旧隧道まで及んでいる。道路脇に切り出した丸太が山積みされ、その搬出作業がおこなわれているようだ。濡れた路面が所々で凍結していて、歩きにくい山スキー靴で恐々進む。
 隧道脇から峠道に入ると雪は十分にある。表面はしっかりクラストしていてまったく沈まない。スノーシュー山スキー靴の足跡が先行する。戸倉峠を越えて県境尾根の西側に進んでも雪は多い。場所によっては1m半ほど。意外に1月前半の大雪がしっかり保存されているようだ。これなら藪は完全に埋まっているだろうと期待が高まる。
 いつもの谷に入ると、雪がたっぷり詰まり快適な登路になっている。ほくそ笑みつつ登る。県境尾根上も藪は跡形もない。先行するスノーシューとスキーのトレースが快調に続く。旧三ノ丸を越えると、この尾根の本来の姿が少し戻ってくる。ミズナラの大木林に次いで、ブナの大木が連なり始め、気分が高まる。今年もまたこの景色に会えた。前方に三ノ丸の真っ白なドームが輝き、右手の坂ノ谷源頭部にはすばらしいブナの原生林が広がる。まったく関西離れしたスケールだ。
 三ノ丸の大雪原に進み入ると、さえぎるもののない風が冷たい。ウィンドクラストした雪面が、移る光を浴びて輝きまた陰る。氷化した部分と雪が溜まった部分が模様を描いているのも面白い。ピークまで行って氷ノ山本峰を眺めてから、少し戻り大雪原で大休止。ピットを掘ってもぐり込もうとザックに縛ってきたスコップを振るう。ところが、30センチも掘ると固い氷の層にぶつかって歯が立たない。氷の層は1月前半の雪がその後の暖かさと雨で融けたものだろう。仕方なく雪のブロックを積み上げて風除けにするが大して効果はない。凍えながら湯を沸かして熱いカップラーメンをすすり込み一息。やっぱりツェルトを張ってもぐり込む方が温かい。
 食後はシールを剥がして大雪原を西へ滑り、家ノ谷源頭部に滑り下りてみる。下手糞なターンをしながらブナや雑木を縫って谷筋を滑って行く。植林が立ちはだかって終了。斜面を登り返して雪原に戻り、今度は県境尾根へ向けて帰途につく。ブナの古木林を縫って気持ちよく下って行くが、すぐに斜度が落ちて中間部はペンギン歩きの区間も。この尾根、もう少し一貫して滑って行けたらなあ。また斜度が出て、雪の詰まった谷に入り、フラフラ楽しく下って林道に着地。スケーティングを交えてスムーズに下っている先行者シュプールを追って、林道をよたよた旧隧道まで滑った。
■戸倉トンネルから三ノ丸GPSトレース
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▼雪が詰まった谷を登る
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▼かつての山スキーコースの名残が
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▼県境尾根上部のブナ林
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▼光る三ノ丸大雪原
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▼三ノ丸避難小屋と遠く休憩舎
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▼三ノ丸からの氷ノ山の眺め
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▼大雪原を見下ろして大休止
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