庭のシモバシラの霜柱

 かなり以前にどこかのサービスエリアにあったのを買って帰って、ずっと庭の椿の下に植えっぱなしのシモバシラ。清楚な花穂から純白の小花がこぼれる、秋が楽しみな野草の一つだが、名前の由来になった枯れ茎に生じるという真冬の霜柱には、これまで一度もお目にかかったことがなかった。
 植えて一冬目、二冬目は期待して株元をのぞいた記憶はあるものの、毎度空振りに終わると、そんな現象は冷え込みの厳しい山中の自生株では見られても、こんな庭ではどだい無理なのだろうと、その後はそんなこともすっかり忘れていた次第だ。
 だから、年末に純白のレースのような氷を何重にもまとっているのをたまたま見つけた時は、ちょっと昂奮するとともに、その見事な出現の具合に、あるいは毎年それなりに出来ていたのを思い込みで見逃していただけのことではないかという疑いも浮かんだのだが、果たしてどうだろう。いや、やはり晩秋からほとんど緩みなく続いたこの冬の特別な寒さがもたらした、暖地の庭では稀な現象に、今年はうれしくも遭遇できたのではなかろうか。そう考えたい気持ちが強いのだ。
 厳冬の朝の清さよシモバシラ