一方通信 ^^;。
文事に関しては、あいかわらず江戸の漢詩文をたどたどと読んだりしています。もちろん、ネット図書館に大量にアーカイブされている江戸漢詩集のPDFをダウンロードして。その際の読書メディアはサイズといい軽さといい、画面の鮮明さといい、無印 iPadがお気に入りなのですが、実はスムーズに読むためにはひと工夫が必要。というのも、本のスキャンは普通見開きでされるわけで(例外はGoogleブックス)、読む時にはその片方のページを画面に合うように拡大し、そしてページを進める時はもう片面へ画像を横滑りさせる必要がある。いやいや、iPadを横にして、そのまま見開き表示で読めばいいじゃん、という方もいるかもしれませんが、古稀とやらでいよいよ視力壊滅状態の当方にはそれでは字が小さすぎる。もっと大きな iPad ならもしかしたら可能かもしれませんが、読書メディアとしてはきっと重すぎるし、第一高いヤネ。しかもスキャン自体、本をいっぱいに撮るわけではなく、周囲の余白もかなり大きいので、やはり無駄な拡大作業は発生します。もちろんピンチイン・アウトやドラッグは簡単なことではあるのですが、この作業がどうも面倒です。電子書籍のEPUBみたいに、手間なくページ送りをして無駄な作業に邪魔されずに江戸漢詩を味わいたい。
そこで、私がこれまでせっせとやってきたのが、PDFの切り出し・トリミング作業。それができる安いソフト、JUST PDFというのを見つけて、見開きPDFをタブレット画面にフィットするよう単ページ化する。その手順については面倒なので触れませんが、結果デジタルデバイスで木版本漢詩集を気持ちよく読めるようになる。いや、気持ちよくというのは読解がスムーズという意味ではなく、たどたどしい進みでも一応本を読む感覚で、あのとりあえずコピーしましたから後はお好きにという感じの紙面をあっちへやったりこっちへやったりしながらではなく、普通に詩集を読む気分で読めるようになる。こうして気がつけば、私の江戸漢詩文フォルダーに貯まった切り出し済みのPDF本は200巻以上になっていました。
そして、この江戸漢詩集デジタル影印収集のメインフィールドとなってきたのが、国立国会図書館のデジタルコレクション(以下国デジ)。数えたことはありませんが、半数以上があそこからのものではないでしょうか。で、ここからが本題なのですが、ある時からこの国デジの漢詩集影印にプロテクトがかかってしまった。ダウンロードしたPDFが一切編集を受け付けなくなったのです。
困りました。大げさに言うと自分の本棚にあると思っていた江戸漢詩の世界が、博物館の分厚いガラスの向こうに行ってしまった気分です。もちろん国デジにはパブリックドメインを独占するつもりなんてないでしょう。それどころか以前からパブリックドメインが未確定な書物さえ、一定の手続きを経てダウンロードできる措置を採っているありがたい機関です。その際に改変ガードをかけることは十分理解できる。でも、それを著作権切れが明白な江戸の木版本にまで及ぼさなくてもいいではないか。果たしてそんなことが許されるのか?
で、少しの恨みも込めて、流行りのAIに次のように問うてみました。AIは安直にGoogle検索のものです。
「パブリックドメインのPDF文書に改変ガードをかけることは許される?」
AIの回答は次のようなものでした。テキストをそのままコピペします。
結論から言うと、パブリックドメイン(知的財産権が消滅または放棄された状態)のPDF文書に、パスワードなどで「編集制限(改変ガード)」をかけること自体は、法律上「許される(違法ではない)」ケースがほとんどです。
ただし、著作権法上の問題がなくても、利用規約やモラル、実効性の面でいくつかの注意点があります。
1. 法律上のルール(著作権法)
著作権侵害にはならない: パブリックドメインの作品は誰もが自由に利用できるため、あなたがそのPDFを編集できないように保護をかけて配布しても、誰かの著作権を侵害することにはなりません。
新たな著作権は発生しない: あなたがPDFに制限をかけたからといって、その文書全体の著作権があなたに手に入るわけではありません。他の人が別のルートから同じパブリックドメインのデータを手に入れれば、当然その人は自由に改変できます。
2. 注意すべき点とリスク
ソース元の利用規約: そのパブリックドメインのデータを「国立国会図書館」や「青空文庫」などのアーカイブからダウンロードした場合、その機関が定めた二次利用の規約に「改変を妨げる行為の禁止」などが含まれていないか確認する必要があります。
批判や信頼性の低下: パブリックドメインは「人類共通の財産」として共有されるべきという考え方が強いため、理由なく改変ガードをかけて配布すると、利用者から「独占しようとしている」「不便である」と批判を受けるリスクがあります。
技術的な実効性: PDFの編集制限は、専用の解除ツールや、別のPDF閲覧ソフトを使うことで簡単に突破できてしまいます。そのため、強力なコピー防止策にはなりません。
もし、あなたが「自分が翻訳した」「自分がデジタル化した(タイピングした)」などの独自の労力(二次的著作物としての価値)を加えている場合は、その追加部分に対して権利を主張するためにガードをかける行為は、より正当化されやすくなります。
もし具体的な目的があれば、教えていただけますか?
どのような文書(古書、官公庁の資料など)を扱っていますか?
なぜ改変を防ぎたい(改ざんによる誤情報の拡散防止、自分の成果物の保護など)のでしょうか?
目的に応じた最適な配布方法や、より効果的な対策をご提案できます。
質問が雑だったので、AIは公開側からのものとして回答したようですが、知りたいことは分かりました。
①パブリックドメインへのプロテクトは多くの場合違法ではない。
②だからといって、そのプロテクト文書に著作権は発生しない。
③だから、その文書に何等かの手段で(方法はある)手を加えることは問題ない。
④そんなことをしたら「独占しようとしている」「不便だ」と不評を買うだけだよ。
要約するとこんな感じでしょうか。最後のは公開側への忠告で、利用者の代弁をしてくれていますね。AIはほんとに気が利きますね。そして、パブリックドメインは人類共通の財産であり、それをどのように利用しても自由、という基本を踏まえて、正しい回答を示してくれていると思います。もちろん幾ら改変自由だと言っても、原典のテキストそのものを攪乱するような行為は絶対に慎むべきでしょうが、そんなことは広く原典が公開・共有されている以上は事実上不可能でしょう。
この問答で私の江戸漢詩集PDFに対する編集行為、切り出し・トリミングはお墨付きをもらった(AIから? いや、AIが周到に参照しているだろうウェブ上の法律関連情報から)わけですが、念のため、もっと深掘りたいらしいAIのいつもの質問返しにこんなふうに答えてみました。
「(扱っている文書は)古書です。改変を防ぎたいのではなく、もっと読みやすく誌面をトリミングしたいのに出来ずに困っています。国会図書館のデジタルアーカイブてす。」
回答はこうです。
国立国会図書館(NDL)のデジタルコレクションからダウンロードしたPDFの保護(トリミングできない状態)を解除し、読みやすく加工することは、私的利用の範囲であれば法律上まったく問題ありません。
国会図書館が提供する保護期間満了(パブリックドメイン)の古書データは、国立国会図書館ウェブサイトからのコンテンツの転載のルールに基づき、商用・非商用を問わず自由に複製や改変が認められています。ダウンロードしたPDFに編集制限がかかっていてトリミングできない場合、それは著作権の保護ではなく、配信システムの仕様によるものです。
誌面をトリミングして読みやすくするための具体的な解決策をいくつかご紹介します。
1. 無料のオンラインツールで保護を解除する
PDFにかかっている「編集制限(パスワード)」を解除してくれる無料のWebサービスを利用するのが最も手軽です。
ILovePDF(PDFロック解除) などのサイトにPDFをドラッグ&ドロップするだけで、トリミングや編集が可能な状態のPDFに変換できます。
2. 「PDF印刷」を使って新しいPDFとして保存し直す
特別なツールを使いたくない場合は、パソコンの印刷機能を使って制限のない新しいPDFを作り直すことができます。
お手持ちのPDF閲覧ソフト(Adobe Acrobat Readerなど)で古書のPDFを開きます。
キーボードの Ctrl + P(Macは Cmd + P)を押して印刷画面を開きます。
プリンターの選択肢から「Microsoft Print to PDF」(Macの場合は画面下の「PDFとして保存」)を選びます。
そのまま「印刷(保存)」を実行します。
これにより、中身の見た目はそのままで、編集制限だけが綺麗に消えた新しいPDFファイルが作成されます。この新しいPDFであれば、自由にトリミングができるようになります。
3. 画像として書き出してトリミングする
古書をタブレットなどでじっくり読みたい場合、PDFのまま扱うよりも、一度すべてのページを画像(JPEGやPNG)として切り出した方が、トリミングや並び替えの自由度が高くなります。
先述の ILovePDF(PDF JPEG変換) などの機能を使えば、全ページを一瞬で画像化できます。
画像にしてしまえば、スマホやタブレットの標準の写真編集機能や、お好みの画像ビューアアプリを使って、余白をカットして拡大表示させることが非常に簡単になります。
制限を解除したファイルは、ご自身のパソコンやタブレットで読む(私的使用)だけでなく、前述の通り国会図書館のパブリックドメイン資料であれば、加工したものを他人に配ったりネットに公開したりすることも自由です。
もし、上記のステップでうまくいかない部分や、お使いのパソコン・タブレットの環境(Windows、Mac、iPadなど)があれば教えてください。環境に合わせた最適なトリミング手順をご案内します。
おっと、いきなりAIの回答がプロテクト回避策に驀進して驚きましたが、これはあくまでパブリックドメインの話であることをお忘れなく。国デジが限定公開しているパブリックドメイン未確定の文書はおそらく法的にも編集・改変は御法度でしょう。一方、パブリックドメインについては
国会図書館が提供する保護期間満了(パブリックドメイン)の古書データは、国立国会図書館ウェブサイトからのコンテンツの転載のルールに基づき、商用・非商用を問わず自由に複製や改変が認められています。ダウンロードしたPDFに編集制限がかかっていてトリミングできない場合、それは著作権の保護ではなく、配信システムの仕様によるものです。
と、明確に自由な改変を認める回答をしていますね。実は国デジもある時期までは編集制限のないPDFを公開していたという事実があります。だからこそ、私の200巻を越えるタブレットで読むための江戸漢詩集のデジタル本棚は成立したわけですが、おそらくパブリックドメイン未確定文書の限定公開が始まった時から、すべての公開PDFに制限がかけられるようになった。それは、AIの言うように公開の仕様が未パブリックドメインの方に合わせざるを得なかった、という事情かと思います。だから、事実として制限はかかっているんだけど、それをあの手この手で回避して読みやすくする、あるいはもっとクリエイティブに改変することだってパブリックドメインの理念上、何等問題ない。今回の国デジの編集制限を巡る考察は、そういう結論で落ち着きそうです。
これからも価値ある原典が公開され続ける限り、私もちまちまと切り出し・トリミングを続けるでしょう。その前にもっとちゃんと読めよ、ということではありますが……。






