奈良の裏道

その一 南大門と若草山を望む道 県庁横の駐車場を北側から出て、すぐに交差点を渡った所から、土塀に囲まれたいい道が伸びています。正面には明るい若草山をバックに東大寺南大門の真横から見た見慣れない姿。人通りも車も少ない、お勧めの裏参道です。その…

山を眺めに

4月に山で足を痛めて以来、ずっと登山から遠ざかっています。そろそろと思っているうちに高山には雪が来て、もう近づける山ではなくなってしまいました。せめて近くから輝く峰々を眺めて、今年の空白を埋めようと伊那谷へ出かけました。 まずは伊那谷と南ア…

和歌浦展図録

地方の美術館や博物館に行くと、ローカルな作者や地誌を取り上げた過去の展覧会の図録に出会うことがあり、売店を覗くのを楽しみにしている。先日の和歌山市立博物館でも図録のバックナンバーがなかなか充実していて、桑山玉洲展のものと標記のものをピック…

和歌山散歩

先日、身近な名所散策で訪ねた大津がなかなか面白かったので、今度は和歌山にショートトリップ。曲がりくねった阪和道で越えていく府県境の和泉山脈はなかなか深く、かつては苦労して一山越えてたどり着く南海の別天地だったことを感じさせる。 まず和歌山市…

江戸の落書き

石山寺の本堂を見物していて、扉や壁にたくさんの落書きがあるのに気づいた。修学旅行生の引っかき傷ならば眉をひそめなければならないところだが、そうではなく溝がすっかり丸くなったずいぶん古そうな署名だ。明らかに江戸時代と覚しいものもある。たとえ…

大津散歩

行楽日和の日曜は、そういえばまだ行ったことがなかったなと、近江の二古刹を訪ねることにする。 京都に向う渋滞を京滋バイパスで避けて石山で下りると、幻住庵の案内が目に入り、思わずそちらへハンドルを切る。道しるべに従っていくと、住宅地の外れの駐車…

金沢

正月旅行は北陸の古都見物。風雪の舞鶴道から北陸道を走って、前日遅く近江町市場の近くのビジネスホテルに入る。当然夕食は海のものでと、市場のなかの近江町食堂へ。休みの日には行列ができる人気店のようだが、意外に空いていて奥の小上がりでは地元の家…

大山秋景

週末は伯耆大山の紅葉を見に出かけた。といっても、登山ではなく嫁さんを伴った遠足。蒜山から入って、鏡ヶ成を経て、まずは奥大山スキー場のゲレンデを借りて、道の駅で買ってきた大山おこわと蒜山焼きそばの昼食。最近はいたるところでご当地食が出現して…

南ア転進・信州峠

上々の天気予報の三連休は押っ取り刀で中部山岳へ向う。南アルプス南部、光岳から聖岳へ2テント泊で縦走のプランで、前夜、遠山川を遡って易老渡登山口に入る。久々の複数泊のザックは重いが、モチベーションも高い。 ところが車中泊の朝は雨で明けた。早朝…

中国山地ドライブ

日曜夜7時。荷物を車に積み込み、風呂にも入って、いざ山へ。と、最後に天気予報をチェックして愕然。ここまでずっと好天続きを約束していた予報が突然暗転しているではないか。月曜は午後から曇り、火曜はもっと悪い。これで連休後半の登山計画は急転直下…

黒曜石

引き続き夏の旅から。 霧ヶ峰にも久々に行ってみた。松本からよもぎこば林道を経て、ビーナスラインに入る。高原散歩には適さない名前通りの深い霧の中をそろそろ走って、まず立ち寄ったのは旧中山道が越える和田峠。宿場は佐久側に下ったところにあるが、今…

奈良井

『木曾街道、奈良井の驛は、中央線起點、飯田町より一五八哩二、海拔三二〇〇尺、と言出すより、膝栗毛を思ふ方が手取早く行旅の情を催させる。 こゝは彌次郎兵衞、喜多八が、とぼ/\と鳥居峠を越すと、日も西の山の端に傾きければ、兩側の旅籠屋より、女ど…

五条坂陶器市

日曜は雨を侵して京都に出かけた。目的は折しも五条坂で開かれている陶器市をのぞくこと。大昔に読んだ京都案内で、京の人々が日常使う食器を購うのに重宝している夏市、と教えられて以来、一度行ってみたいと思いながら、これまで果たせずにいた。いつもの…

芋2種

忘れてた。南九州といえばこれでしょ。 今や芋焼酎も全国ブランドが多くて、山形屋というローカルなデパ地下の酒売場をのぞいても、昔のような未知との遭遇の感動は少ない。20年前に旅した時は、何が芋やら米やら、酒やら酎やら分からず、道行く酒飲みそうな…

霧島

雨だれ式にしつこい南九州ネタもこれでおしまい。 霧島ホテルの体育館みたいな超弩級の庭園風呂に腰を抜かして溺れそうになった翌日は、霧島道路を登ってえびの高原に遊んだ。高原は折しもミヤマキリシマの花盛り。車でいっぱいの韓国岳登山口に停めて、高み…

南九州遺跡見物その二

西都原古墳群 旅の最後の日に宮崎に寄り道して西都原古墳群を訪ねてみた。大小の古墳が広々した台地に点在している空撮写真を大昔に見て以来、一度行ってみたかった全国的に名の知られた古墳群。西都市の市街地から西へ、一段高くなった広大な丘陵に車を進め…

南九州遺跡見物その一

上野原遺跡 鹿児島でぜひとも訪ねてみたかった遺跡。鹿児島湾を望む標高250mの台地上、つまり姶良カルデラのカルデラ壁上に位置する縄文時代の遺跡で、台地上に工業団地を造成する工事にともなって1986年に発見され、その後の発掘調査でセンセーションを巻…

知覧

鹿児島から薩摩半島を1時間ほど南下したところにある知覧は、年配の人には大戦末に特攻機が飛び立った場所として記憶に残っている地名だろうが、最近はよく整った町並みが残ることでも知られている。指宿へ向う途中、有料道路を下りて立ち寄ってみた。 浅い…

桜島八景

鹿児島市内からの桜島の日の出 鹿児島港からの桜島 磯庭園の五月幟と桜島 有村溶岩展望所からの桜島南岳 湯之平展望所からの桜島北岳 湯之平展望所からの北岳山頂部 黒神導流堤からの桜島火山 黒神からの昭和火口 南九州の旅から。 南九州といってもほとんど…

労研饅頭

松山の一番の繁華街、大街道商店街で強く目を引いた店。労研とは何ぞや、それを冠した饅頭とは何ぞやと、店頭のケースをのぞいてみると、いろんな色・形の蒸し饅頭みたいなものが並んでいる。店の奥には由来書きが掲げられていて、「昭和の初めに倉敷の労働…

伊予松山

週末は休日割引を使って四国に渡ることに。阿波は近すぎるし、讃岐でうどん店の行列に並んで過ごすのももったいない。ならば土佐の高知か伊予松山。どちらもゆっくり見たことのない城下町だが、松山には道後温泉があり、四国随一の窯業地砥部があってちょう…

京都散歩

陽気が回復した日曜は、桜の散る前にと京都へ。上りの高速も市内の道も混み具合はふだんと変わらない。錦小路の駐車場にとめて北へ歩く。今日は何かのイベントの日に当たっているらしく、街角や公共施設の広場で派手な格好をした若者たちが踊っている。ヨサ…

南紀

たぶん20年ぶりぐらいにひと巡りした紀伊半島だが、改めてこの土地の自然のダイナミックで濃密なことを実感した。外縁を回る国道42号は観光道路・生活道路でもあるから、産業の興廃は自ずと目にとまり、人事は転た常無しの感を深くするが、ひとたび目を転じ…

佐藤春夫記念館

紀伊半島の外縁を3分の2周ほどする一泊旅行の途中、新宮の佐藤春夫記念館に立ち寄った。文京区関口町にあった旧居を、平成元年に熊野速玉大社の境内に移築・復元したもの。新宮は佐藤春夫の出身地で、生まれたのも速玉大社に近い市中だったようだ。 昭和2…

日生・牡蠣三昧

いつの間にか「安心実現のための経済対策」とやらで、土日祝の昼間の高速代が半額になっている。ただしETC通行で100キロ以内だが、山陽道なら備前まで足を伸ばすことができる。備前といえば、よく遊びに行く閑谷学校が近いが、海に向かえば日生(ひなせ)漁港…

両国・浅草

土砂降りのなか上野公園3館を梯子した翌日は、お上りさん定番の両国の江戸東京博物館と浅草を見物した。 両国では、折しもボストン美術館から里帰りした浮世絵展を開催している。天気が回復した週末とあって、フェルメール展に負けない混雑。絵の前に張りつ…

浜町・中洲散歩

東京町歩きの達人、川本三郎氏が定宿にしているという人形町の小さなホテルに宿をとったので、翌朝は氏にならって大川あたりを散歩してみた。 浜町公園を抜けるとコンクリートで固められた大川。堤の上には巨大な高速道路がかぶさっている。都会の川はいずこ…

地獄谷温泉

3泊目は懐かしい地獄谷温泉に宿をとった。前回泊まったのは、今は社会人になった娘がベビーカーに乗っていた頃だから20年以上前。秘湯ブームの走りで、藤嶽彰英の本を読んで行ってみる気になった。その後、日本の温泉地は大いに様変わりしたが、当時極めつ…

吹割の滝

たまたま出発の何日か前にテレビで紹介されていた片品川の名所。まさにルート上だったので立ち寄ってみた。奥日光から金精峠を越えて120号を下ったところ。実は一昨年の秋に奥白根山に登った帰りに通った道なのだが、その時はとくに気に留めなかった。まあ、…

岩宿遺跡

考古学少年だった頃からの憧れの地、岩宿をついに訪れることができた。 甲府盆地から雁坂峠を長いトンネルで越えると秩父。渓谷を成す荒川沿いに下ると、関西人にはとりとめなく広い関東平野に出る。赤城山が近くなり、ようやく風景にめりはりが出てホッとし…