2006-01-01から1年間の記事一覧

年越し

酔っぱらってテレビでアーノンクールの雄渾なジュピターを聞きつつパソコンをのぞいているうちに、年が明けていた。「ゆく年くる年」の控えめなカウントダウンのお世話にならなかったのは、何年ぶりだろう。 ○元旦試筆 大窪詩佛 夜来 歳を守って鶏鳴を過ぐ …

独裁者の死

フセイン元大統領の死刑執行。政権崩壊から3年半(asahi.com) フセインの圧政と暴虐の罪は承知の上で、それでもむごたらしい印象がぬぐえないのは、権力を剥奪されたかつての独裁者の弱々しい個人の姿が、これまで何度も、テレビに流されていたからだろう…

泉 鏡花

「『鯛だぞ、鯛だぞ、活きとるぞ、魚は鹽とは限らんわい。醤油で、ほつかり煮て喰はつせえ、頬ぺたが落こちる。――一ウ一ウ、二ア二アそら二十よ。』 何と生魚を、いきなり古新聞に引包んだのを、爺様は汚れた風呂敷に捲いて、茣蓙の上へ、首に掛けて、てくり…

ゲルベゾルテ

「『うち、その間に一と休みさして貰おう』 と、妙子は傘を床に置いて、褄を取りながらゆっくりゆっくりと長椅子の側へ歩み寄って、貞之助に並んで掛けた。そして、『済みませんけど、一本下さい』 と、ゲルベゾルテを一本貰って火を点じた。」『細雪』谷崎…

ホワイトカラー・エグゼンプション

管理職ではない会社員のうち、一定年収以上の者から残業代をなくすべし、という答申が厚生労働省の諮問機関から出されたという。これをアメリカに習って「ホワイトカラー・エグゼンプション」と呼んでいるようだが、これでは何のことだか分らない。ウィキペ…

年末寒波

年末になると不思議と必ず強烈な寒波がやってくる、というのが、ここ何年かの経験則だが、今年もどうやら例外ではなさそう。低気圧が発達しながら列島の東岸を駆け抜け、その後に大陸から寒気が吹き込んでくる。上の日本気象協会による29日の予想天気図がそ…

NIKON D-40ドレスアップ

D-40の化粧直し。 その1 レンズフードHB-33装着。要するにレンズの日除け。普通はレンズに付属してくるものだが、安価なキットレンズにはなかったので、純正品を購入。レンズの保護フィルターも考えたが、画質にはマイナスだし、フードがあればある程度のプ…

六甲

今年の登り納めは超近場の摩耶山へ。午後から、いつもの黒岩尾根を登り、桜谷道を下る3時間ほどの行程で汗を流す。調子のいい時は、黒岩尾根の登り口から上の公園まで、1時間を目標に一人タイムトライアルをやるのだが、新しい眼鏡にまだ慣れず足元が少々…

コイン精米

米を玄米で買ったので、地元の農協前に置いてあるコイン精米機で精米する。玄米で買うと米はずいぶん安いし、保存性がいいので、食べる分だけ精米すれば、いつでも収穫したてのうまい飯が食べられる。精米代は10キロ100円。玄米を投入して搗き方を選択すれば…

『秋刀魚の味』

先日の岸田今日子の訃報を聞いて、思い出したのが小津安二郎の最後の映画『秋刀魚の味』だ。作中で笠智衆が、偶然出会った海軍時代の部下、加東大介に連れて行かれるトリスバーのママがこの人。若々しく艶っぽい岸田今日子だ。三人は軍艦マーチに合わせてに…

暖冬

2006.12.21 2005.12.21 2004.12.21 2003.12.21 2002.12.21 豪雪地帯である新潟県南魚沼市の五日町スキー場に設置された[八海山ライブカメラ]で見た、ここ5年の積雪状況。例年、この時期にはすでに根雪が積もっていることが多かった。唯一まだ雪のなかった…

眼鏡

眼鏡を遠近両用に変えた。名前はもっともらしいが、要するに半分老眼鏡だ。裸眼で視力表の一番小さい欠け丸までくっきり見えた時代は遙かに遠く、夜、車に乗るときだけ眼鏡の世話になった時代も記憶の向こう。いつしか眼鏡は常用のものとなり、事ここにいた…

落日三句

雑木林にまぎれて弱々しく燃えていた今日の夕陽。思いついてこの季節の夕暮れの名吟を、またぞろ江戸の句に探してみる。暮・夕・日の3語で近世テキストに検索をかけるが、意外に冬の夕暮れ吟は少ない。多いのはやはり「春の暮」と「秋の暮」。後者はしかし…

のだめカンタービレ

フジテレビの「のだめカンタービレ」をときどき見ているが、上野樹里の弾いたふり(ですよね)は抜群。これまで、少なくないピアニストドラマがあって、水谷豊の英雄ポロネーズを嫌というほど聞かされたり、毎度つらそうに練習する小泉今日子の薄幸ぶりにつ…

NIKON D-40落手

ついに念願のデジタル一眼を我が物とした。NIKON D-40の評判はきわめて良好で、にわかに発した物欲に冷や水を浴びせかける情報にはついに出くわさなかった次第。で、いざ買うとなったら、1円でも安いことに喜びを感じる大阪人の血が騒いで、発売以来、どん…

天神橋双月

大阪にいる長女と3人で、久しぶりに天神橋筋の「双月」。いつ食べても、何度食べても、文句なくうまい、大阪の正統派お好み焼き。ゆっくり焼いて表面が香ばしくカリカリになっても、中は最後までふわふわ。長芋を擦り入れようが、キャベツを増やそうが、こ…

ゲラニウム

冬枯れ間近の庭で、しっかり葉を繁らせている宿根草のゲラニウム。とくに元気なのが、ゲラニウム・オクソニアナム(Geranium oxonianum)の仲間。このオクソニアナムはもともとの野生種ではなくて、違った種類のゲラニウムの間の自然交配種なのだそうで、そ…

獺祭 純米吟醸50遠心分離 新酒薄にごり 生

今夜の酒は獺祭。だっさいと読む山口の酒だ。長々しいサブタイトルがついているだけあって、確かに少し変わった酒。日本酒というのはふつう、袋に入れて圧力をかけ、酒と粕に分離するもののようだが、それをこの蔵元は日本で唯一、遠心分離機でやっているの…

すずらんの湯

風呂釜が故障してしまったので、はじめて近所の立ち寄り湯に出かける。800円と少し高めだが、施設はなかなか豪華。裏山に面した広い庭には数種の露天風呂があって、なかには五衛門風呂風の大きな甕を置いた一人風呂も。ざぶんと浸かるとなかなかいい気分だが…

類人猿の絶滅

エボラ出血熱の蔓延で、アフリカのゴリラに絶滅の危機が迫っているという記事が出ている。最近5年間で5000頭以上が死んだという。保護区によっては90%を超えるゴリラが消えたということだ。野生のゴリラ・チンパンジーにエボラが広がっているというニュー…

夕照

しばらくぶりの夕焼け。いつの間にかほとんど葉を落とした雑木林が、シルエットとなって西空をいろどる。明日からはまた雨がちな日が続くらしい。年末にどかっと雪が降ったここ2〜3年とは明らかに違う今年の冬。西日本の山の本格的な積雪はまだ遠そうだ。

閑谷学校

午後から、岡山のお気に入りスポット、閑谷学校を訪ねる。山陽道の備前インターから北へ少し走り、穏やかな中国山地の山ふところに入り込むと、特徴のある蒲鉾形の石垣に守られた、赤瓦の建物群が現われる。大きな講堂をはじめ、孔子廟・神社・正門などの建…

『ノスタルジア』

深夜のBSで『ノスタルジア』を見ている。待ちに待ったタルコフスキーの傑作だ。もちろん録画もしている。市販のDVDは画質が悪いというもっぱらの評判だが、この放送は問題なさそう。大昔、出張の折に、映画マニアの同僚に連れられて、東京の名画座で見…

温室の花

Coelogyne uniflora ▲ヒーターを入れた室内温室で咲き始めたセロジネ・ユニフローラ。以前集めていた小型洋蘭の数少ない生き残りの一つ。ヘゴ板に付けて、夏は柿の木の下にぶら下げているが、特に世話を焼かずとも毎年この季節に花をつける。花がそっくりな…

冠 松次郎

「黒部の中流の平から御山谷、御前谷、内蔵助谷に至る快闊優美な地域、三千米前後の両岸の高い山々にかこまれた渓谷の景色はすばらしい。 渓を探るのが目的で入った私たちは、周囲の壮麗な景色に見とれながらも、碧水の中に游いでいる岩魚の姿が忘れられずに…

今朝の富士山

今朝も三ツ峠ライブカメラの富士が美しかったようだ。画像を集めて、またスライドショーを作ってみる。先月22日とは違って、今日は上空の雲の変化がダイナミックだ。天気予報の今日の富士山周辺はいたって穏やかだが、上空には強い気流が流れていたのだろう…

カツ卵ロール

青谷ベーカリーのカツ卵ロール。硫酸紙の包みを開けると、昔ながらの調理パンのたたずまいがうれしい。ロールパンは皮が適度に厚く、生地も歯ごたえしっかり。噛みしめても気持ち悪く絡まないから、ハムカツ・ソース・マヨネーズ味の卵ペーストともマッチ。…

地面写真

自転車で東京近辺を走り回って、1日に何千カットも撮るという若い写真家、内原恭彦氏のページ[Son of a BIT]をときどきのぞく。以前に見た、何の変哲もない地面を撮った写真が変に印象に残っている。地面というのはもしかしたらものすごい素材かもと、夕…

井上安治

→大画像 インターネットから集めたわが名画コレクション(^^;)の一つ、井上安治(1864〜1889)の「枕橋の図」。14歳で当時人気の高かった風景錦絵師小林清親に弟子入りし、25歳で亡くなった夭折の風景版画家。「明治十四年御届」と記されたこの絵は、17歳の時…

藤井竹外・落葉

○葉を掃く二首 其の一 晨に掃除をなし 昏に掃除す一庭 葉下る 暁霜の余吾が家 例によって減ず 読書の課九月の梢頭 十月の初(『竹外二十八字詩』巻之二) 今、まさに落葉盛んな時節。よく乾いた葉は、少しの風にも枝を離れて、庭にも通路にもウッドデッキに…