アメリカ映画ベスト100

BS2でやっていた標記の番組を面白く見る。アメリカ映画協会が2007年に選んだ2度目のリストをCBSテレビが番組化したもの。もちろん再放送だろうが、見るのは初めて。 選ばれた映画のさわりの取り出し方と次の映画とのつなぎ方が気が効いている。100本のどこ…

ナイロビの蜂

ほとんどどこにも出かけなかった黄金週間の暇つぶしに借りてきたDVDの一枚。「ヴィレッジ」が面白かったナイト・シャマランの新作「ハプニング」が本命だったが、これは期待外れ。植物が毒素を出して人間を自殺に追い込む、ってのがそもそもピンとこない。「…

「東京物語」

大晦日のテレビはどこも無理矢理のお祭り騒ぎで見たいものもないので、竹泉の濁り酒を飲みつつ「東京物語」を見る。何度見ても見飽きない味わい深い映画。映画史でも屈指の老人映画でもある。 子どもたちを訪ねて尾道から上京した老夫婦。滞在が長くなるうち…

「乱」

先日の「影武者」に続いて「乱」を見る。これは映画館では見ていないが、レンタルで見ていると思う。しかし何を見ておったのだろう。これはとんでもない映画ではないか。黒澤映画のどころか、日本映画の一つの頂点ではなかろうか。 見どころ、感じどころはた…

「影武者」

BSで「影武者」を見る。公開された時に見に行って以来だから28年ぶり。壮大な様式美に圧倒されたという印象が残っているが、今見ると特に前半は黒澤らしい濃やかな人間ドラマになっていて、いい意味で印象を裏切られた感じ。年をとって見えやすくなった部分…

「デルス・ウザーラ」

昨夜BSでやっていた「デルス・ウザーラ」は想像以上にいい映画だった。作られた1975年当時、国内の評判は芳しくなく、あまりに坦々としたといった評が多かったように思う。けれど今見ると、黒澤が何の小細工もなく真っ正面から受けとめているシベリアの映…

スウィーニー・トッド

娘が借りてきたので何となく見る。 なんじゃ、こりゃー。 スタイルとしてはミュージカル。ミュージカルらしい軽妙さもある。しかし内容としては紛れもないスプラッター映画。主人公も含めてたくさんの首が掻っ切られて、血しぶきが飛びまくる。副主人公は肉…

黒澤明の「白痴」

ゆうべBS2でやっていた「白痴」は、完全にノーマークだったのだが、意外に面白い映画だった。(逆にその後期待して録画した成瀬巳喜男の「娘・妻・母」はそれほどでもなかったな)何が面白いかというと、とりあえずの感想なのだが、まずドストエフスキーの世…

高峰秀子

今週はBS2で深夜に成瀬巳喜男の映画をやっている。昨夜は「妻の心」、今夜は「あらくれ」、どちらも代表作といえるほどの出来ではなさそうだが、それでもついつい見てしまうのは主演が高峰秀子だから。原節子が咲き誇る薔薇だとしたら、高峰秀子は朝顔だろう…

原節子と杉葉子

昼飯を食いながらテレビを見ていたら「青い山脈」をやっていて、思わず最後まで見てしまった(閑人)。これまでに5回も映画化されたという青春ドラマの古典だが、これは一番最初に作られた世評の高い今井正監督作品。女教師に原節子、バンカラ高校生に池部…

ヴィレッジ

昨夜地上波でやっていた「ヴィレッジ」という映画が面白かった。 舞台は前近代の雰囲気の漂う村。人々は家畜を飼い、畑を作り、艷光りするシェーカー風の家具が置かれた簡素な家で暮らしている。周囲は深い森に囲まれていて、そこには魔物が棲むと信じられて…

冤罪

名画揃いの裏番組をあきらめて見た「それボク」。いやあ、面白い映画だったなあ。身につまされる映画でもあった。女弁護士も言ってたっけ。「男にはみんな動機があるのよ」って。若い女が嫌いな男なんて、この世には少ないから、ギュウギュウに混み合った電…

「勇気ある追跡」・アスペン

一昨日、BS2のアカデミー賞特集でやっていたジョン・ウェインの「勇気ある追跡」は、ちょっと見入ってしまう映画だった。いや、ドラマにではなく、次々に写し出される北米の風景のみごとさにだ。西部劇なのにメサとサボテンというおきまりのウェスタンのイメ…

「運命を分けたザイル」

BSJapanで標記の映画を途中から見始めたら目が離せなくなってしまった。実際にあった遭難をそっくり再現した、すさまじい山岳サバイバル映画。遭難の当事者がナレーションを務めているから、ドキュメンタリー映画だといってもいい。 2人の若者が南米の高峰…

イングマール・ベルイマン

BS1で録画しておいた「ベルイマンの監督術」というドキュメンタリーを見る。85歳のときに最後の映画として撮った「サラバンド」のメイキング。アメリカ娯楽映画のシチュエーションの生産工場みたいな現場とは対照的に、場面を構成する人の心と身体の動き…

展望荘

突然だが、オーバールックホテルを見つけた。スティーブン・キング原作の「シャイニング」を映画化したキューブリックが、ロケ地に選んだホテル。といえば、「ああ、あれ」と思う人も多いだろう。といっても、使われたのは遠景のみで、建物のアップや内部は…

ターシャ・テューダー、『八月の鯨』

録画しておいたBSの再放送、ターシャ・テューダーというアメリカの老絵本作家をめぐる番組を見る。きれいな庭と居心地よさそうな家、そして純朴そうな子や孫、長年慈しみ、手塩にかけてきたものに囲まれて過ごす老女の姿には、ていねいに積み重ねてきた生…

『秋刀魚の味』

先日の岸田今日子の訃報を聞いて、思い出したのが小津安二郎の最後の映画『秋刀魚の味』だ。作中で笠智衆が、偶然出会った海軍時代の部下、加東大介に連れて行かれるトリスバーのママがこの人。若々しく艶っぽい岸田今日子だ。三人は軍艦マーチに合わせてに…

『ノスタルジア』

深夜のBSで『ノスタルジア』を見ている。待ちに待ったタルコフスキーの傑作だ。もちろん録画もしている。市販のDVDは画質が悪いというもっぱらの評判だが、この放送は問題なさそう。大昔、出張の折に、映画マニアの同僚に連れられて、東京の名画座で見…

『ベニスに死す』

フィガロを飲みつつ、BSで『ベニスに死す』を見る。大学生のころはマーラーのアダージェットに引かれて名画座に見に行ったものだが、今見ると、録音の悪いアダージェットが少々くどく使われている。しかし、映画そのものは耽美と頽廃の極致。白塗りの道化…

『プライドと偏見』

最近珍しく感情移入して見たDVD。原作は1813年に出版されたイギリスの女流作家ジェイン・オースティンの古典的恋愛小説。ユニークな個性をもった魅力的な男女が、互いに反発しながら次第に惹かれていき、ハッピーエンドにいたる典型的なストーリーだが、…