氷ノ山三ノ丸幕営

モナカ雪…(;_;)
 土日は2日間とも好天の予報を受けて、念願の三ノ丸大雪原での幕営に出かける。先週に続いて戸倉トンネル東口から旧道・県境尾根を経て三ノ丸へ。前日に少し新雪が積もったようで、先週のトレースはうっすら残るばかり。今日はスノーシューのトレースに終始先導されて進む。テントを背負っているので大助かり。
 大雪原に着く頃には青空も広がり始める。さすがに吹きっさらしの原に張るのは不安なので、雪原に臨む一番上のブナの根方に設営。今日は冬用外張りに一番分厚いシュラフで防寒体制も万全を期した。
 少し陽が傾くまで、三ノ丸の四阿を往復したり、大雪原の下に岬状に突出する1337mのピークを探ったり、うろうろして遊ぶ。時折光が射す大雪原の風景は雄大かつ幻想的。ただ、目標物がなくて、めでたく復活したコンデジがピントを合わせられないのが難儀。何とか小さな灌木にフォーカスを当ててシャッターを切る。谷越しに坂ノ谷尾根のブナの連なりを見る1337ピークは大きな広場で、周囲にもブナの大木が多い気持ちのいい場所。
 夜は例によってろうそくランタンを灯してまったり。ストーブの着火装置が故障してしまって焦るが、念のために持ってきていたジッポのライターが役立つ。外張りのせいか、暖かい夜だったのか、ほとんど寒さを感じることなく寝られた。
 翌日は朝からピーカン。予定通り氷ノ山の西端の平頂峰、大段を探ることにして、軽い荷で出発。ただ稜線通しに行くのは面白くないので、県境尾根とその西の1376mピークから下る尾根との間の大きな谷に滑り込んでみる。ところが、雪は表面の新雪が皮のように堅くなり、その下には軟らかい雪の層があるいわゆるモナカ雪。皮の下に入り込んだスキーは固定されてターンができない。曲がろうとするたびに転倒。ただでさえ下手なのに、今朝の雪ではスキーにならない。
 ブナの赤い春芽が美しい1376尾根に登り返して、少し稜線を西へ進むと、大段を見下ろすスケールの大きな中傾斜の斜面。一番楽しみにしていた斜面なのだが、ここもターンができたのはよく締まった最初の部分だけで、後はモナカモナカ。さすがに転けると分かっていてターンするのは馬鹿らしいので、斜滑降とキックターンで大きなジグザグを描いて下る。GPSのログにもそれがちゃんと残っているのがお笑い。
 鞍部から雪庇の末端に乗ってゆっくり登っていくと大段。野球場ほどのだだっ広い台地が二つ連なっている。ここも周囲にはブナが多いが、そのすぐ下には植林が迫っている。大段の真っ白な台地もかつて切り拓かれたものか。ここにゆったりとブナ林が広がっていたら、どんな素晴らしかったろうと溜息。
 南に東山・沖ノ山を始めとする雄峰たち、北に氷ノ山・赤倉山から青ヶ丸・扇ノ山へと続く、いずれも加藤文太郎ゆかりの山々の眺めを楽しんでから、この雄大な雪の舞台を後にする。1376ピークまで戻り着くと、ちょうど単独スキーヤーがやってきて立ち話。大段手前のコルから北へ谷を林道に下るのだという。へえ、そんなコースがとれるんだ。今日の雪はベテランでも大変ですよと慰められたが、モナカ雪に刻んだ初心者トレースを見られるのが恥ずかしい。
 昼になって、ようやくモナカの皮はふやけてきたので、行きに苦労した谷の反対斜面を下ってみる。こわごわ不細工なターンを描いて谷底へ。登り返した斜面でも少し上がり下がり。こういう斜面があと何十倍も続けば、悪雪滑りのいい練習になるんだろうけどな。
 大雪原を三ノ丸へ向かう登山者とすれ違って、テントに戻るともう昼過ぎ。風のなか苦労してテントを畳んで、県境尾根を帰途に。ずっと緩斜面なので背中の重いザックもさほど影響ない。稜線からの谷もごまかしごまかし滑って、スノーシューやスキーの立派なトレースが続く林道を駐車地に戻った。雪の多い今年は県境尾根、すなわちかつての戸倉コースも少し昔の人気を取り戻しているよう。今年は後一度行けるかな、もう横行コースに鞍替えかな。
戸倉トンネルから県境尾根〜三ノ丸〜大段GPSログ
氷ノ山三ノ丸幕営アルバム