オイストラフ・リヒテルのフランク

先頃、セザール・フランクのヴァイオリンソナタが聴きたくなって、懐かしいLP時代の名盤がCD化されているのを入手した。唯一持っていたギトリス・アルゲリッチの別府での「奇蹟のライヴ」は、あまりに奇蹟が過ぎてちょっとね。 最初に出会った演奏がその…

スゼー届かず

過日ネット古書店でフランスの名歌手、ジェラール・スゼーの「詩人の恋」と「美しき水車小屋の娘」のCDが安くあるのを見つけて喜んで注文した。古書店から発送の連絡があって楽しみに待つも、1週間過ぎても一向に届く気配がない。問い合わせて見ると、確か…

ボストリッジ・内田光子「美しき水車小屋の娘」

これも最近の私的発見盤。そもそもこの名歌曲集自体、最近になってようやく視野に入ったのだから(何たる散漫なクラシックファン)、二重の発見といえなくもない。今や「水車小屋」は、シューマンの歌の年の歌曲群と並ぶ、わが座右の、というよりも寝床でiPo…

バレンボイムのモーツァルト・ピアノ協奏曲集

前半は空梅雨の気配さえあったというのに、いつ明けるとも知れない今年の梅雨。8月までズレ込めば、盛夏は盆までの十日ほどで終ってしまいそう。この週末もうっとおしい空模様だが、ならばドライを効かせた部屋にこもって、すっきり綺麗な音楽に親しむに限…

クライバーの未完成

買ったままになっていたCDを聴く。最近は「積ン読」だけでなく、「積ン聴く」も多くなって情けない限り。 カルロス・クライバーのシューベルト「未完成」とブラームス第4交響曲と「トリスタンとイゾルデ」のさわりの入った一枚。 一発で背筋が伸びる。ア…

ゲルバー

教育テレビでゲルバー・N響のベートーヴェン3番協奏曲を聴く。CDでおなじみのゲルバーだが、コンサート映像を見るのは初めて。若い頃のジャケット写真にくらべて、ずいぶん太って、失礼ながらオカマバーのママ風の特異な容貌。足も悪いようだし、幼い頃…

オーディオ復活

先日のカラヤン生誕100周年番組に刺激されて20年ぶりにプリメインアンプを買い換えて、ようやくオーディオ環境が復活。ちなみにアンプは、マランツのPM-74Dからデノン(もとデンオン。いつからか海外の読みに合わせたらしい)のPMA-1500AEに。 さっそくスピ…

カラヤン

土曜日BShiでやっていたカラヤン生誕100年の大特集は見応え・聴き応え十分だった。特に午前中に放送していた「ヘルベルト・フォン・カラヤン―その目指した美の世界」と題するドイツ制作のドキュメンタリーは、記憶しておきたい言葉・証言・シーンが数知れず…

アファナシエフ

今夜、BShiでやっていたワレリー・アファナシエフのドキュメンタリーは不思議な番組だった。前半は亡命にいたるこのピアニストの人生をたどるのだが、「漂泊のピアニスト・アファナシエフ・もののあはれを弾く」というタイトルの通り、後半はにわかに日本の…

グスタフ・レオンハルト、吉田秀和

HMVの「輸入盤3枚で25%オフ」キャンペーンに乗って買った一枚。LP時代に親しんだグスタフ・レオンハルトのスカルラッティソナタ集。スカルラッティのソナタの魅力を最初に教えてくれた録音。その後、ピノック、スコット・ロス、シフ、ハスキル、何人…

涙のピアニスト

コンサートで涙を流しながら弾くピアニストを初めて見た。といっても、テレビの話だが。BShiでやっていた「ピアノの詩人 ショパンのミステリー」というドキュメンタリーで、仲道郁代がショパンを訪ねる旅をする。そして、番組の最後に彼女のコンサートの様子…

音盤時代

今だにシューベルトの後期ピアノ・ソナタ浸りが続いている。最近買ったCDもこればかりだ。色んなピアニストの盤を集めているが、廃盤になったものも多くて、いきおい中古CDばかり買うことになる。アマゾンのマーケットプレイスやYahooオークションの中古…

森 麻季

子どもを迎えに駅まで往復する間に流していたFMから、実に美しい歌声が。たちまち耳をとらえられてしまって、誰だろうと聞いていると、椿姫のアリア、森麻季だという。そういえばほっそりした美人のソプラノを、以前テレビで見たっけ。こんなにきれいな声…

古楽器のシューベルト

最近執心のシューベルトの後期ピアノソナタの新しい入手盤。アンドレアス・シュタイアーが古楽器のフォルテピアノで弾いた、ちょっと毛色の変わった19・20番ソナタ。古楽器演奏の例にもれずいきいきとした印象の演奏だ。特に早く強く弾く部分はすばらしい躍…

チャイコフスキー・コンクール

BS Japanでこのあいだのチャイコフスキー・コンクールを取り上げた2時間の番組をやっていた。ほんの触りだけだがヴァイオリンで優勝した神尾真由子の演奏もあって、その迫力に驚いた。本選の協奏曲など会場を圧倒していて、優勝して当然の大才だと感じた。…

吉田秀和

昨夜、教育テレビでやっていた「言葉で奏でる音楽―吉田秀和の軌跡―」というドキュメンタリーは面白かった。制作者のなかに熱心な読者がいたらしく、評論のなかの演奏家への美しいオマージュが、当の演奏家の映像つきでたくさん抜粋されていた。また自身を語…

クラウディオ・アラウ『シューベルト・ピアノソナタ第19・21番』

クラシック好きといっても、散漫で非系統的な聴き方しかしてこなかったせいで、この年になっても新しい曲との出会いがあるのは、かえって幸いというべきだろうか。言うも恥ずかしいのだが、このところシューベルトの後期ピアノソナタを“発見”して、こればか…

フランス・ブリュッヘン

NHK-Eチャンネルでブリュッヘン・18世紀オーケストラの演奏会を見る。ベートーヴェンの交響曲1・3・8・5番を一気に。普通のオーケストラでは大変ヘビーなメニューだが、朴訥で直球勝負でけれん味のない古楽オーケストラでは、最後まですっきり聴ける。小…

N響・スヴェトラーノフのチャイコフスキー

今夜も賀茂泉をすすりつつチャンネルを漁っていると、地デジのNHK-Eチャンネルでチャイコフスキーの5番交響曲が鳴っている。なんとなく聞いていると、これがいいではないか。どんどん引き込まれて最後まで聴いてしまう。きれいな旋律のオンパレードで、下手…

吉田秀和のハスキル

[Blue Sky Label]にクララ・ハスキルのスカルラッティソナタ集がある。吉田秀和が『私の好きな曲』という本のなかで、スカルラッティの演奏として推しているものの一つ。曰く、「私の愛するスカルラッティのもう一枚のレコードはクララ・ハスキルのそれだ…

フルトヴェングラーのブラームス第2交響曲

[Blue Sky Label]でダウンロードした標記の曲を聞く。ウィーンフィルを振った1945年1月28日のライブ録音。スイス亡命直前の演奏会という解説にひかれた。ナチスに協力的だったというイメージのあるフルトヴェングラーだが、実は何度か亡命を画策していて…

ブルースカイ・レーベル

遅まきながら[Blue Sky Label]というサイトがあることを最近知った。青空レーベル――著作権の消滅した文学作品のテキストを公開している[青空文庫]に倣って、著作権の消滅したクラシック音源をMP3データで公開しているサイトだ。たくさんのボランティアが…

YouTubeのホロヴィッツ・吉田秀和

YouTubeで見つけた掘り出し物影像その2。ウラジミール・ホロヴィッツが1983年に初来日した際のコンサート影像だ。大家ホロヴィッツも当時80歳。テクニックの衰えはあって当然だが、この演奏はそんなレベルのものじゃない。聞くも無残。どうしてここまでボロ…

YouTube・内田光子

内田光子の弾き振りによるモーツァルト20番コンチェルト。YouTubeでこんなものまで見れるようになるとはなあ。これって、これまでの常識では明らかに法に抵触しているんだろうが、こういう人を楽しませ、時には勇気づける影像を、いつでも見たい時に見られる…

エマ・カークビー『パーセル歌曲集』

アップルストアから、5色のiPod shuffle登場のメール。ウェブサイトを見てみると、最初のシルバーに4色が加わって、キャッチコピーも“Put some color on.”に変わっている。“Put some music on.”というコピーにはなるほどと思ったものだが、colorとなるとど…

スヴャトスラフ・リヒテル『平均律クラヴィア曲集』

アマゾンのマーケットプレイスで注文していたCDが届いた。アメリカはマイアミのCAIMANなる業者に注文したもので、発注から20日ほどかかっているが、価格は国内版の半値以下。内外の価格差をある程度埋めることのできる、有り難いシステムだ。パックに貼ら…

グレン・グールド「ジークフリート牧歌」

表紙に“Glenn Gould plays his own transcriptions of Wagner”という長いタイトルのついた紙パッケージのCDに収められた一曲。中のライナーノーツには「ピアノによるワーグナー・コンサート」というタイトルがついている。アマゾンで探したら「プレイズ・…

マウリツィオ・ポリーニ『ショパン夜想曲集』

これもmp3化して楽しんでいるアルバム。ポリーニといえば、言うまでもなく現存する最高のピアニスト。一般には若い頃のメカニカルな演奏のイメージが強いけれど、最近の録音は、音の粒立ちはそのままに、円熟味を感じさせるものになっているというのが大方の…

村治佳織『シンフォニア』

パソコンに取り込んで最近よく流しているアルバム。当世人気の美形ギタリストだが、技術がしっかりしているのだろう、安心して聞くことができる。特に7曲含まれているスカルラッティがいい。ギター用に編曲されたものだから、たぶん和音などはだいぶ薄いの…