大山

 土曜は紅葉を求めて伯耆大山に登った。といっても、大山寺からの夏山登山道は人が列をなしているだろうから、マイナーな東の峰々を周回することにして、前夜、川床登山口に入る。ここは駐車場がなく、立ち木の間に数台分の空き地があるだけ。他に車はなく、真っ暗な中で寂しく車中泊
 朝、次々に車が到着して出発していく声を聞きつつ、ゆっくり寝て8時前発。大休峠を越えて一向平まで至る道は、所々に石畳も残る古くからの峠道。今が盛りの黄紅葉が朝日に輝き、早くもカメラはフル稼働。1時間ほどで雰囲気のいい木造りの避難小屋のある大休峠。
 ここからは長閑な峠道を離れて、藪と危うい痩せ尾根のルートを進む。野田ヶ山を越えて頼りない岩稜の道を下っていくと、前方に岩の塔がそびえ立っている。これが親指ピーク。大げさに言うと大キレット越えの途中にある長谷川ピークみたいな難所。最近道が崩れて、崖際をロープに頼って上り下りする。ヒヤヒヤもののルートだが、握ったロープが切れたり、つかんだ枝が折れたりしない限り、まあ大丈夫。その先の振子山へも激登りで、ロープ登りやモンキークライムで高度を上げていく。
 藪が切れて、前方に大山本峰が雄大に展開したら振子山。その右にはユートピア避難小屋と三鈷峰も見える。ここまでの藪山から一転してアルペン的な風景のなかを一気に登って象ヶ鼻1550m。ここが本日の最高点。この先、稜線の縦走路は天狗ヶ峰、最高峰の剣ヶ峰そして弥山へと続くが、崩壊する北壁・南壁に両側から削られて、高度1700mの綱渡り状態らしい。見上げると、稜線を進んでいる姿が幾つも見える。前日に雨が降って土が落ち着いているこんな日が、崩れやすい縦走路を行くには適しているのかもしれないが、スリルはもう十分。まだ11時だが、林檎だけかじって下り始める。
 下山ルートの宝珠尾根は左に巨大な大山北壁、右に三鈷峰西壁を望みながらの面白い道。しきりに落石の音が響く北壁の裾は紅葉に彩られて、殺伐たる岩壁との対比も鮮やか。ただ壁の上から降る光が逆光で、残念ながらいい写真にならない。北壁と三鈷峰西壁、両方にカメラを向けつつ下る。尾根の下半分は素晴らしいブナの森。ここでもシャッターが止まらない。きれいな若ブナの森を抜けて上ノ原スキー場に下り、自動車道を歩いて、2時、川床に戻った。

▼大休越えの石畳道
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▼雰囲気のいい大休峠小屋
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▼岩稜の道を親指ピークへ
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▼親指ピーク、北から
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▼親指ピーク、南から
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▼親指ピークと日本海
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▼振子山付近からの大山本峰
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▼象ヶ鼻からのユートピア小屋と三鈷峰
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▼大山北壁の紅葉
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▼三鈷峰西壁の紅葉
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▼北壁をねらう人
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▼宝珠尾根の紅葉と北壁
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