秋のサルビア

 庭の花の1年を締めくくるのは、今年もやはりサルビアたち。こぼれ種で鮮やかなスカーレットやピンクの花を咲かせる1年草のサルビア・コクシネアも、寂しくなった花壇にひとときの彩りを取り戻してくれる種類だが、やはり嬉しいのは、もう長く庭にいる宿根種がまた大きな花叢を形作ってくれること。
 とはいえ、宿根草にも当然寿命はあって、植えて5年あまりになるパイナップル・セージはずいぶん衰えて、細くなった花茎に小さな花穂をまばらにつけているばかり。代わって秋の庭の主役に躍り出たのが、これも数年経つはずだが、これまでは茎を2〜3本立てるだけだったのが、今年はどういうわけか10本以上も簇生させてその先にボリュームたっぷりののたうつような花穂をつけているブルーマジェスティ。花にも大器晩成という奴がいるのだろうか。そして、これは宿根草というよりも茎が木質化するので低木と呼びたいチェリーセージ。風で茎が折れやすいのが弱点のこの花も、今年は台風がほとんど来なかったせいで、古茎からたくさんの若枝を伸ばして満艦飾に緋色の花を咲かせている。
 秋の深まりとともにサルビアの競演が幕を閉じたら、また庭の1年が終わる。
ブルーマジェスティ Salvia mexicana
チェリーセージ Salvia microphylla