敗夏落莫

 今日もまた各地で豪雨。去年に続く猛暑のパターンで来た夏が、盆過ぎに一気に崩れて、不順な天候が続く。どっちみちすぐにまたうだる日々が、そう思い続けているうちに、気がつけば8月が終ろうとしている。あのふてぶてしい夏はどこへ行ってしまったのだろう。まだツクツクボーシの声も聞いてないのに、まさかこのまま今年の夏は退場してしまうんだろうか。暑さ疲れした生きとし生けるものを慰撫するように少しずつ日が短くなり、夜の気配がだんだん早まり、季節の終幕を告げる豪奢な夕映えが町を彩る、そんな晩夏を見ないで秋を迎えるのは、いかにも頼りなく踏ん切りがつかない気分だ。夏よ、もう一度戻ってこい。とまどう蝉に生死のサイクルを思い出させ、夕方、犬と人が散歩する丘の上のグラウンドを、晩夏の深々とした光で満たせ。