仙人草


Clematis terniflora
 ジャングルと化した庭でセンニンソウが咲いている。まだ丈低いハナミズキにまつわって、けぶるように咲く純白の花叢がさわやかだ。といっても、これもまぎれもない雑草。昔、クレマチスに凝っていた頃、草姿だけ見てもしや自生のカザグルマではないかと野から抜いて来たものだが、咲いてみたらセンニンソウ。すぐに持て余して放り出してしまったのが、バックヤードで雑草化して、庭にも種が飛んだのが刈っても刈っても蔓を伸ばす。この夏は長く草抜きをさぼったので、ついにみごとに咲いてしまった。
 けど、こうして見ると悪くない花だ。芳香もあって、使いようによっては十分園芸植物として通用しそう。最近は園芸クレマチスも多様化して、よく似た白花を咲かせる中国原産のアーマンディという原種も市場に流通している。ただし、葉と茎には有毒の成分があって、経験はないが汁が皮膚につくと水ぶくれになることもあるらしい。逆にその毒性を利用して、刺激療法的な民間療法にも使われているという有用(?)な毒草。別名ウマクワズ、ウシノハコボレもその毒性による。センニンソウという名は、ヒゲを伸ばした種子の形からつけられたようだが、クレマチス類はどれも長くのたうったヒゲを生やした面白い種をつける。