アメリカ映画ベスト100

 BS2でやっていた標記の番組を面白く見る。アメリカ映画協会が2007年に選んだ2度目のリストをCBSテレビが番組化したもの。もちろん再放送だろうが、見るのは初めて。
 選ばれた映画のさわりの取り出し方と次の映画とのつなぎ方が気が効いている。100本のどこを取っても有名な映画ばかりで、アメリカ映画の無尽蔵さを思い知らされる。逆に言うとどこを取ってもポピュラーな映画しかなく、アメリカ映画の限界も感じさせる。
 ベストワンは前回と同じく「市民ケーン」。正直言って映画そのものの面白さでは、今一つピンとこない選択だ。たぶん映画史に与えた衝撃、手法の革新性という点では類ない映画なのだろう。そういう意味ではこのベスト100の選択基準はオーソドックスでアカデミックだ。一番新しい映画は2001年の「ロード・オブ・ザ・リング」で、最近の映画は選ばれていない。
 日本で同じようなことをやれば、きっと半分ぐらいは印象の新鮮な直近の映画が選ばれるだろう。加藤周一が指摘したように日本人の関心は今・此処にべったり張りついている。いくら印象が強くても、新しい映画にはある程度時間のハードルを越えた後でなければ古典としての資格を与えない、アメリカ人の姿勢はさすがだ。
 私的ベストリストをひそかに考えてみる。そんなに見ているわけではないので、客観的に妥当性のある選択はとても無理だが、DVDやハードディスクに取り込むなどしていつでも手許に置いておきたい映画はと考えれば、やはりヨーロッパと日本が中心。アメリカ映画は「八月の鯨」ぐらいだろうか。