午前中は空が気になって落ち着かない。テレビの皆既中継を見つつ、時々外に出て太陽を探す。完全な曇り空だが、薄い部分にかかると欠けたシルエットが現われる。却って雲がフィルターになって、裸眼で拝めるし、普段のレンズで撮影ができる。11時過ぎの最大食には、弦月のような姿になり、真昼の眺めが心なしか薄暗くなった。とはいえ、雨雲がかかったとき程度の明るさだ。皆既の地では真っ暗になって星が見え、地平線・水平線が360度夕映えのように輝いていたようだが、20%を残した部分食ではそんなドラマはない。それだけ太陽の光量が膨大だということだろう。それにしても最高の観測地といわれながら、皆既を最悪のどしゃぶりのなかで迎えた悪石島は絵に描いたような運の悪さで、なんとも気の毒だった。