ナメコ植えつけ

 乗鞍で一敗地にまみれた翌日は動きたくなかったが、ナメコの種駒を買っていたのを思い出す。裏山の木を適当に倒して植えるつもりだったが、説明書きには新芽の頃までにとある。よっこらしょと重い腰を上げて裏山に入り、適当な木を探す。
 ところが長らく放置された山は自ずと原生状態の照葉樹林に帰りつつあり、常緑樹ばかりで落葉樹は数えるほど。一年中黒々として重苦しい常緑樹は好きになれず、明るい落葉樹を残しておきたいので、伐る木を選ぶのに苦労する。
 株立ちになったクヌギの日当たりが悪くいずれ淘汰されそうな幹を1本選んでノコギリを入れる。1mほどに切ったのを5本持って下りて種駒の接種作業。すでに新芽を展開し始めていて、水を吸い上げた幹はずっしり重い。
 ドリルで適当な間隔に穴をあける。種駒用のビットはどのキノコも8.5ミリを使うようで、ずっと以前に椎茸を栽培した時に買ったのが残っていた。あけた穴にダボ型の種駒を木槌で打ち込んでいく。1本あたり50近く打ち込むからけっこうな密度だ。
 キノコは植物のように植えた種からだけ生えるのではなく、菌糸が木全体にまわってどこからでも生える。木の栄養を消費し尽くすまで何年も生える。ただし、最初に菌糸が木に侵入するには適度な水分が必要で、乾いた木では増殖は望めない。
 ナメコはその辺りの按配が難しそうだが、まあ出たら儲け物という気分で後は山まかせ。もう一度木を山に持って上がり、薄明るい場所に伏せて落葉をかぶせておく。晴天が長く続いて山も乾燥しているが、一雨あれば湿りを取り戻すだろう。
 うまくいけば秋には走りの発生が見られるようだが、本格的な発生は来秋から。原木キノコの栽培は超スローテンポの園芸?だ。そういえば椎茸栽培は毎年収穫時期を失念して、ほとんど朽ちさせてしまったっけ。