氷ノ山横行コース

 水曜は日韓戦。きっと見てしまうだろうが、ナショナリスティックな感情の発動を嫌いつつ、それでも一喜一憂せざるを得ないのがシンドイ。特にやられた時にしばらく心を占めるくすぶりと、それを鎮火すべくあれこれひねくることになるに違いない小理屈が鬱陶しい。
 結局、ある年齢以上の日本人はみんなかつて野球少年だったわけで、今はプロ野球観戦から遠ざかった人でも、バックに大日章旗がはためく状況になると、俄然、この特別なスポーツ、少年の頃の心身の形成の幾分かに関与しているに違いない、いわばネイティブなスポーツへの愛着が復活する。けだし、子供時代に親しんだものへの愛着こそはナショナリズムの最大の土壌であろう。
 そんなわけで、できれば野球の国際試合はやめていただきたいが、そんなことを言っても仕方がないので、この際逃げ出すことにした。幸い水曜は快晴、早朝からこそこそ起きて、前回と同じ氷ノ山横行コースへ向かう。って、どんな理由やねん。
 横行林道の雪は1週間でかなり減っているが、駐車地は前回と同じ。前回のように脇道にそれず、林道を大段ヶ平まで歩き、山頂を往復したが、朝から気温が高く日差しも強く、全コース雪が腐って登りに大いに汗を絞られる。それでも神大ヒュッテの先のブナ林の登りは左に左にコースを取って、下りのブナ林滑降のコースを下調べ。4時間近くかかって風の強い山頂に着き、吹きっさらしの展望舎で昼食を摂った後は、行きのトレースを追いつつ下る。重いベチャ雪に未熟な滑りはままならないが、横行谷に突き出た支尾根の末端までブナを縫って滑る変化のあるコースは面白かった。
 千本杉まで登り返して大段ヶ平へ下る。大屋町避難小屋下の急斜面に今日もがんばって弧を描く。笹の露出がだいぶ増えて、この斜面もこの週末限りかな。そういえばこの辺りは5月にスズノコをたくさん取った所。雪が消えれば背丈を越す藪が復活する。大段ヶ平からは前回と違い走り過ぎない雪にのんびり乗って林道を下った。寡雪の今年は早めに除雪が入って、登山口が近くなることを期待したい。
 帰路、ラジオで敗戦の報を聞く。明鏡止水。もはや何も思うまい。
横行林道から氷ノ山GPSトレース
林道から見上げるブナの尾根
ブナの根もだいぶ開いた
ひたすら眩しい山頂雪原
顔をのぞかせた源流
源流の長老
またシュプール写真