老犬

 去年御年15歳で保健所から表彰してもらった外飼いの犬が、今年に入って調子が悪い。時々悲鳴をあげて這いつくばるので、獣医に見てもらうと背骨に異常があるよう。心音にも雑音が多いという。背骨の痛みは薬で何とかなったが、今朝見るとえらく呼吸が荒い。
 獣医に連れて行くと、今度は肺水腫だという。心臓に問題のある犬が陥りがちな疾患とかで、そのまま放っておくと窒息死も。急遽酸素室に入れて利尿剤などの治療を施してもらう。夕方、回復したという連絡を受けて引き取りに行ったところ、肺水腫に加えて肺炎も起こしているとかで、4種の薬を処方され、夜間は戸外ではなく玄関程度の少しく温かい場所で過ごさせるようにとのこと。老犬ともなるとさすがに寒さが応えもするようだ。
 玄関というわけにも行かないので、物置状態の温室を片づけて犬を入れる。ボイラーを撤去した無加温室状態のガラス室はそれだけでは寒かろうと、あわてて灯油を買いに走り蔵から引っ張りだした温風ヒーターを持ち込む。換気が心配で密閉するわけにはいかないので、10度程度にしかならないが、それでも寒空の下の犬小屋よりは遙かに増しだろう。
 老犬はまだ少し呼吸が荒いが食欲はあって薬はちゃんと飲んだ。この状態でしばらく大事にしてやらなくちゃならないだろう。こんなときにはできる限りのことをしなければ悔いが残る。