天満天神

 遅めの初詣。京都・奈良の渋滞を嫌って、大阪天満の天神さんに出かけた。扇町公園の駐車場にとめて、双月が営業しているのを確認しつつ、天神橋筋を人並みとともにだらだら15分ほど歩く。それでも歩いたのは、1丁目から6丁目まである商店街の3丁目と2丁目だけだから半分以下。まったく長い商店街である。
 2丁目の南端から少し東へ入ると天満の天神さん、正式には大阪天満宮の大門。さほど広くない境内は初詣の人で賑わっている。さすがにここも天神さんだけに合格のお守りに長い列ができている。そういえば娘たちの受験の時は、里帰りの途次、堺の家原寺というハンカチに願いを書いて収める寺ばかり行っていて、合格祈願の本家がここにあることに思いが及ばなかったなあ。代わりに世界平和を願って(嘘)賽する。
 石の鳥居をくぐって境内を北へ抜けると、すぐに右手に最近よく名を聞く落語寄席、繁昌亭があり、周囲にはたくさんの人がたむろしている。繁昌亭は大成功だそうで、上方落語協会は宿願の定席寄席を得た。古い伝統をもった魅力的なコンテンツがあっても安定した器がなかったのだから、寄席の設置と成功は必然といえるのかもしれないが、天神橋筋天満宮という環境でなかったら、たとえば代理店が提案しがちな若者の町や新しい商業施設に作ったなら、一時的には注目されても安定した成功は得られなかったかもしれないな。つまりこれは、大阪の古い環境と古いコンテンツの再生ということかもしれない。
 ふたたび商店街を、行きに数店あることを確認した古本屋をのぞいたりしながら戻る。もちろん初詣の仕上げは双月のお好み焼き。相変わらず文句無く美味い。この味は大規模モールのフードコートなどでは絶対に出会えない。大阪の商店街の深さならん。