小楢


 家の裏に出て、屋根と裏山に挟まれた細長い青空を見上げると、コナラがいい具合に黄色くなっている。木末まで10mもあるだろうか。家の北側の裏庭と呼ぶには狭すぎるスペースは、山からせりだした大きな木々のちょうど真下で、春には芽鞘が降るし、夏には毛虫、秋にはどんぐりが盛大に音たてて降る。年に1度だけこうして目を喜ばせる黄葉も、もうすぐ遠慮なく舞い落ちて、また雨樋を詰まらせるだろう。そして寒長けて、裏口の脇の蛇口のしたたりが凍る夜には、枝を透かして星の光が降り注ぐ。