大阪寺町散歩

 佐伯祐三を見に天王寺に出かけたついでに、下寺町を小一時間ほど散策してみた。大阪の古い行楽地の名残がわずかに残る地域。大江神社の石段下に駐車して、将来直下型地震震源になるだろうと考えるとちょっと剣呑な上町断層の崖を由緒ある坂道で上り下りして、いくつかの旧跡を歩いた。それぞれの故事来歴を詮索しはじめるとキリがないので、今日のところは写真と古絵図で簡単に。

➀大江神社(旧毘沙門堂)下の石段

➁市内で最古の木造建築、勝曼院の多宝塔「愛染堂」とその向こうにモダンなビル寺院

清水坂、右手が新清水寺、左手が浮瀬(うかむせ)跡

➃樹木の辺りが多くの文人墨客が遊んだ有名な料亭、浮瀬の跡地。今は星光学院の敷地――うかぶ瀬に沓並べけり春の暮れ 蕪村

➄京の清水寺を真似て設えられた新清水の玉出の滝。時に滝行をする人の姿も

安居神社への石段。小さな上り下りの多いこの界隈の散策は楽しい

安居神社の境内には古い石碑が多い。本殿の裏山一帯が通称安居天神山。かつては花見の名所だった
「此の地、小岡を成す。故に又天神山と呼ぶ。二月は梅花、三月は櫻花、西に萬頃の碧田を望む。風景甚だ美し。樹下猩氈を鋪き、金觴を擧ぐ。」田中金峰著『大阪繁昌詩』



『摂津名所図会』から