ハンマースホイ展カタログ


 国立西洋美術館で開催中の「ヴィルヘルム・ハンマースホイ展」のカタログを入手。未知の画家なのだが、展覧会の案内サイトをのぞいているうちに興味をもち、通販を申し込んだ。というのも、東京のみで関西には巡回しないから。この秋は国立博物館の「大琳派展」といい、東京都美術館の「フェルメール展」といい、一極集中的開催が多いのは困ったことだ。少なくとも琳派展は東西でやるのが筋(?)というものだろう。
 ハンマースホイデンマークの画家で、日本でいえば明治の少し前から大正の初めまで生きた人。その絵はカタログで見る限り、フェルメールにも似て静謐で、それに少なからぬ神秘味も加わる精神的な色合いの濃いもの。今後日本でも世界でも魅せられる人が増えるのではないか。うれしいことに図録のできもいい。最近は学芸員の思い入れやデザイナーの自己主張ばかりが目立ってはなはだ見づらい図録も多いが(先日のコロー展のなんて、買う気がしなかった)、このカタログは静謐な絵の世界を乱さない端正なデザインで、手に取っているだけで気持ちがいい。でもやっぱり実物を見たいなあ。