スウィーニー・トッド

 娘が借りてきたので何となく見る。
 なんじゃ、こりゃー。
 スタイルとしてはミュージカル。ミュージカルらしい軽妙さもある。しかし内容としては紛れもないスプラッター映画。主人公も含めてたくさんの首が掻っ切られて、血しぶきが飛びまくる。副主人公は肉焼き窯で焼き殺される。かなり念入りにリアルな映像で。
 こんなものにゴールデングローブ賞アカデミー賞を与えるアメリカ人の感覚は完全に箍が外れている。残虐に不感症になっているとしか思えない。
 まあ、スウィニー・トッドというのは、19世紀のイギリスで数々の怪奇物語に登場する架空の殺人鬼で、いわば残酷物語の古典。日本人が四谷怪談の残虐シーンにさして動じないように、英米人にもお決まりの残酷さとして耐性ができているのかもしれないが、それにしてもこれはちょっと度が過ぎてる。事実、本家イギリスでもこの映画には年齢制限をかけたというではないか。
 こんなもの作らすなよー。
 知らずに映画館で見てしまったら、その後、どんな顔で館を出ればいいんだ? 何を食えばいいんだ?