雷雨


 2時頃から夕方まで、強烈な雷雨に見舞われた。直前まではかんかん照りの空で、今日もまたうだるような夏日と覚悟していたのだが、気がつけば一天俄かにかき曇り、今にも一雨きそうな不穏な雲行き。ちょうど嫁さんが留守の時だったので、あわてて下におりて、洗濯物を取り込みながら見上げると、真っ黒な雲がのたうつように北から南へ広がっている。カメラを持ち出してその劇的な空の様子を撮っているうちに、大粒の雨が落ち始めた。
 あわてて家に入り、開け放しの窓を全部閉めて回って、一息ついて部屋に上がると、明かりがほしいほどの暗さ。遠雷も轟き始めた。インターネットの雨雲レーダーを見ると、東西に長く伸びた強い雨雲が南下してきている。雲の下は激しい雷雨だろう。
 こうなるともう落ち着かない。恥ずかしながら雷が苦手なのだ。ついに近くで雷が鳴り始めたところで、作業を中断してパソコンをシャットダウン、OAタップも念のためスイッチを切って、階下に下りる。もちろん上空の雷から少しでも遠ざかるためだ。後はひたすら雷の通過を待つのみ。
 ところが今日の雷は生半可ではなかった。雨雲レーダーを見ると二列三列と重なった雷雲が次々に通過して、ずっと遠く近くで雷鳴が轟き続けている。中部電力雷情報でも、京阪神は落雷で真っ赤になっている。窓から見る空に、光のひび割れが激しく走る。音のない遠い稲妻を眺めているのはドラマチックで面白いが、頭の上でガラガラいいだすとたまらない。稲光とともに間髪入れずドカンと音がやってきて肝を冷やす。カタストロフ的重低音に家中が震動する。2度ブレーカーが落ちた。家のなかのブレーカーではなく、外にある配電盤のなかのブレーカーなので、その度に傘を差して復旧作業をする。上空では雷が轟いていて生きた心地がしない。
 夕方になってようやく雷雲は遠ざかった。心配していたパソコンと周辺機器に被害はなかった。けれど神戸では突然増水した都賀川で、水遊びしていた子どもたちが流されて亡くなった。わずか10分で水位が1メートルも上昇したという。輝かしい夏は危険なエネルギーも秘めている。そのことを実感させられた午後だった。