調子に乗ってまたぞろ雲写真。今日は季節外れのうろこ雲が暮方前の空を飾っていた。で、浮かんだのが、古今集の夏歌の最後を飾る凡河内躬恒の歌。
 夏と秋と行きかふそらのかよひぢはかたへすずしき風やふくらん
 季節の交代を景物に見るという、王朝和歌に通例の、イメージだけを頭の中で組み立てて作った歌ととれなくもないが、この歌にはそんな人工性を超える開放感・無窮感があるようにも感じられる。作歌の動機は、晩夏の空と流れる雲を眺めたとき作者の胸に宿った、遙かにあくがれ出づる気分にあったと信じたい。