花と蟷螂


 吹けば飛んでしまいそうなちっぽけな体で、いったい何を狙ってるんだろう。一人前に鎌を胸元に折りたたんで。今が盛りのヘメロカリスに来るどんな虫も、そのあるかなきかの捕獲肢には大き過ぎるだろうに。
 けど夏の終わり頃には蝉をむさぼり喰らうプレデターの姿があって、姿は見えなくても、断末魔の蝉の叫びは耳に届いて、この庭の昆虫のピラミッドが今年もよく整ったことを知らせるだろう。
 わが庭の百虫の王の子。今は前途に苛烈な試練が待っているにしても。