ガレ展


 天保山サントリーミュージアムで「ガレとジャポニスム展」を見てきた。この美術館は初めて。ある種の巻き貝をイメージさせる、逆円錐型の建物の外観は、全面のガラスにすぐ横の海を写して面白いが、通路が入り組み、入口はどこやら展示室はどこらや、動線が分かりにくくて大いに戸惑う。この不親切さは、建物はガラス中心でイメージが違うが、例の建築家のものに近いなと思っていたら、やっぱりそうだった。やれやれ。
 展示は年代順の構成で、ガレの器の成り立ちと展開がよく分かる。展示作品の解説パネルにはタイトル通り日本の影響が一々強調されていて、少々鼻についたけれど、確かに日本の意匠との出会いが生んだ芸術といえそう。初期のものは、透明ガラスに北斎などの意匠をそっくり写していて、よくできた工芸品の範疇を出ない。けど、大成期になると、日本の影響を完全に消化して、独自の創造にまで至っている。造形はガラス器の装飾の域をはるかに抜け出て、まるで3次元の静物画のよう。乾山が陶器でやったことを、ガレはガラスでやったといえるんじゃないだろうか。それもガラスの特性をいかしてポエジーと幻想性豊かに。ガレは乾山とともに、たぶん世界の器の芸術の頂点だ。