明神平

 月曜はK氏と恒例の雪の明神平もうで。アプローチの大又林道は濡れた路面が凍結して、スタッドレスを履いていても立ち往生している車がある。4駆のK氏車でさえ頻りに空回りしつつ進むから、2駆の自車では苦しかっただろう。たどりついた駐車スペースは既に20台ほどの車でほぼ満杯。冬の明神平もいつの間にかメジャーになってしまった。
 登山道も取り付きから雪が多いが、立派なトレースができていてスノーシューは必要ない。明神滝あたりから木々は雪と霧氷で真っ白。空はピーカンで素晴らしい霧氷日和になりそう。明神平に登り上げる手前の大又の谷が見渡せるポイントでは、ちょっと記憶にないほど分厚い霧氷に覆われた木々が迎えてくれる。枝についた霧氷が伸びに伸びて、ほとんど木の形を残していない。これが針葉樹ならモンスターになるのだろうが、広葉樹では妖怪だ。これまでの経験から言って、明神平周辺ではよく成長した霧氷に出会える確率が高い。それは、ここが大又の谷を吹き上がってきた風が集って一気に越える場所だから。みごとな谷の眺めを目の前にしていると、そのことがよく分かる。
 たくさんの登山者が憩っている明神平でスノーシューを装着。しっかりしたトレースがこの先もたぶん明神岳まではついているだろうが、ここからは人の踏まない雪を踏んでの自由なさまよい歩きが楽しい。三塚分岐と前山をつなぐ稜線の下に広がる大斜面まで登ると、周囲のブナは重々しいほどに雪をまとって枝を垂れている。霧氷もあるが、大量の雪が付着した状態のようで、細かい枝の先まで霧氷に飾られた時の繊細さはなく、ブナも苦しそうだ。中には雪の重みに堪えきれずに折れている枝もある。稜線近くまで登って、ザックにくくってきたスコップでテーブルをこしらえ、大斜面の眺めを楽しみながら昼食。陽差しでゆるんだ雪がブナの枝から降り注ぐのに閉口しつつ、レトルトおでんを温めて頬張る。今年もタイミングよく明神平の雪を楽しむことができたことに感謝。
 そのあとはいつもの散策コースへ。明神岳への稜線の途中から北面のなだらかな斜面を下り、雪の原生林をK氏所望のブナサルノコシカケを探しつつ歩く。幾つか大きなのが見つかるが、残念ながら簡単には剥がすことができない。そのまま奥山谷源頭の谷に下って、出合から少し流れをさかのぼれば明神平の水場。高度が少し下がると、さすがに今日の陽差しで雪は重くなっている。水場からゆっくり登って人の少なくなった明神平に戻り着く。ここでスノーシューを外したら後は下るだけ。ボブスレーコースのようになった登山道を、尻滑りでショートカットしつつ一気に下りた。これも雪の明神平登山の楽しみ。
大又林道から明神平GPSログ
朝の林道を歩く
霧氷の王国に進み入る
今日は祝福された日
ただ青と白
霧氷の造形
明神平全景
前山下大斜面
氷れる森と燃える恒星
満艦飾の氷の木
膨らむ春芽