スーパーズーム


 NIKON D40用レンズ3本目。タムロンのAF18-250mm F/3.5-6.3 Di II LD Aspherical [IF] Macro Model A18N II。名前も長いけどズーム倍率もスゴイ。35mm判換算で28〜388mm相当の画角をもつ世界最大の13.9倍のズーム倍率を誇るズームレンズ。タムロン社が5000円キャッシュバックキャンペーンをやっていると聞いて、「もうレンズはこれ以上」の誓いが瞬時に瓦解して、俗に言う“ポチッとな”の挙に出てしまった。
 手元に届いてみると、重さは450gとかなり重いが寸法は十分にコンパクト。写りはまだ確かめていないが、評判では値段の割にはなかなかいいらしい。これまで使っていたキットレンズの27〜82.5mmでは望遠側が少々物足りなかったので、それに代わる常用レンズとして活躍してくれそう。ちょっと重いけど、無雪期の山にはこれで行くことになるだろう。
 ところで上の写真、左の本品に対し、右は20数年前に使用していたミノルタの35〜70mmズーム。懐かしいマニュアルフォーカス時代の愛用レンズだ。今、額にして飾っている娘たちの可愛い写真も、ほとんどこのレンズで撮った。サイズも重さもさほど違わないのに、片や13.9倍、片や2倍ズーム。20数年間の技術革新のめざましい成果がここにある。それにしても何が進歩したのだろう。技術的なことは分らないけれど、レンズの製造技術なんて昔からそんなに変わってないはずだから、たとえばレンズの複雑な組み合わせに、コンピュータの計算能力を駆使した革新があったのだろうか。
 思えば、この20数年の間にカメラという機械自体も、マニュアルフォーカスからオートフォーカス、そしてデジタルカメラへと、それに乗り遅れたカメラメーカーは消滅してしまうほどのすさまじい変転を見せた。また個人的には、主な被写体は子どもたちから山と花へと大きく変わった。でも、最初に親しんだマニュアルフォーカスの一眼レフと少しずつ買い集めたレンズたちは、とっくに使わなくなったとはいえ、今も手離す気にはなれないのだ。そして、たまに彼らの埃を払って、デジカメに比べて驚くほど見やすいそのファインダーをのぞく時、またかつてよく聞いた「玉」という呼び方がふさわしい、ガラスの質感がずしりと伝わる鏡胴を手にする時、今も実用に何の問題もないのに、過去のものになってしまった道具たちに、憐れみのような感情が湧いてくるのを抑えられないのだ。