最新物撮り事情


 さる芸大で仕事の空き時間に卒業作品の撮影を見学。学生さんたちは立派な卒業作品集を作ってもらえるらしい。それはともかく、ずいぶん様変わりした物撮りの様子が面白かった。撮影物と照明のセッティングをしたら、後はカメラマンはマウスを握ってパソコンの前に座る。当然カメラとパソコンはケーブルでつながれていて、今やシャッターを切るのさえパソコン上で。写真はすぐさまモニターで確認してその場で画像の調整。カメラはその間、背後で孤独にまばたきを続けるというわけだ。もちろんモデル撮影などではこういうわけにはいかないのだろうけど、いずれにしてもポラロイドで一々確認しながら、カメラにしがみついて撮っていた時代は今は昔。デジタルの進化が写真撮影を、その場ですぐさま完結する一連の電子作業に変えてしまったようだ。フィルムに結果を秘めて押し黙っていた以前のカメラはスタジオの隠然たる主役だったが、今では情報の入口でしかないように見える。