歳末雑感

 HMVの「3枚買うと25%引きセール」に乗って注文していた盤が、今頃届いた。で、今夜はアルバンベルク四重奏団のベートーヴェン弦四のDVDを見つつ年越し。もちろん、最近贔屓の但馬の酒、竹泉の雄町純米生原酒のまったりとした甘露を啜りながら。そして、傍らには愛犬がゴロゴロしているけれど、弦楽器の「金きり音」が苦手な嫁さんは別の部屋にいるし、子どもたちはそれぞれカウントダウンやら何やらで、てんでバラバラ。寂しいといえばそうだけれど、パスカルもこう言ってるではないか。

『人はひとり死ぬであろう。/それゆえ、人はひとりであるかのようにしていなければならない。』「パンセ」松浪信三郎訳
 多くの動物の場合もそうであるように、家族という血縁集団はいずれ解体する運命にある。多くの思い出が絡みついた紐帯に執着するあまり、個としての成長を妨げることがあってはならないと心得べし。そして寂しくなった秋の巣に残された親蜂は、近づいてくる冬の足音を聞きつつ、おのれたちの生をもう一度蜂蜜色に磨くことを考えるべきだろう。