至日


 雨の冬至。一日ぼとぼと降り続く冬の雨は惨めで陰鬱だ。一年で一番昼の短い日には、キリッと透き通った空か、いっそのこと、雪をはらんだ寒雲の天がふさわしい。この気温では、夜に入っても雨が雪に変わることはない。サイレントナイトは年末寒波に期待か。庭では、掃き怠っている落ち葉が地面にへばりついて、もう軽々と掃き集めることは難しいだろう。
 雨音を聞きながら、川瀬巴水が描いた城崎の図を思い出していた。宿の部屋からいつも流れが見下ろせるあの温泉場では、なるほど冬の雨も町の風情を損なわない。かつこの絵では、巴水にしては平板な構図を雨が救っている。けだし雨と雪と夜で街景を引き立てる達人だろう。