もみじ

 お昼にいけや食堂にうどんを食いに行った帰りに、六甲の紅葉を見に行ってみた。平日なのに釣の車がたくさん停まっている洞川湖の近くの教育植物園をのぞく。入り口の並木の奥のイロハモミジが実にきれいだ。有馬街道沿いの雑木林の黄褐色の色合いもいいが、やっぱりモミジは紅葉の王様。なにしろ紅葉と書いてもみじとも読む。モミジの紅葉こそが真正の紅葉というわけだ。
 岩波古語辞典を見ると、「もみぢ」は「紅葉ぢ・黄葉ぢ」で、字の通り木の葉が赤や黄に変わること。「奈良時代にはモミチと清音で四段活用。平安時代に入って濁音化し、上二段活用」の動詞としても使われていたらしい。用例として万葉集
 秋山にもみつ木の葉のうつりなば更にや秋を見まく欲りせむ
 という歌が引かれている。なるほどね。
 国文学研究資料館の[二十一代集検索]で「紅葉」や「もみち」を検索すると、たくさんの歌が上がってくる。全部に目を通したわけではもちろんないけれど、一番好きなのはやはり古今集秋歌下の詠み人知らずのこの歌だろうか。
 あきはきぬ紅葉はやどにふりしきぬ道ふみわけてとふ人はなし
教育植物園のモミジ