ドキュメント・大空の闘い

 カメラを手に庭に出たら、上空で1羽のトンビが気持ち良さそうに輪を描いていた。何度も大きく旋回しながら、東から西へと移っていく。視野から消えたと思ったら、今度は一直線に戻ってきた。何かと思えば、その後を数羽のカラスが追いかけている。カラスたちの縄張りに足を踏み入れた、いや、翼を羽ばたき入れてしまったみたいだ。トンビの方がだいぶ大きいが多勢に無勢。ほうほうの体で逃げてる様子が下からも分かる。もう十分と見たのか、カラスたちはすぐに追撃を止めたが、1羽だけがしつこくまつわりついて東に移っていく。迷惑そうなトンビの鳴き声が視野の向こうに消えた。
 それで空の珍事は終わりかと思いきや、またトンビの声がして2羽が戻ってきた。しつこいカラスめと下で義憤を感じて見ていると、トンビがすっと急旋回してカラスの後ろについた。今度はカラスが追われる番。まるで戦闘機の空中戦だ。何度か追いつ追われつがあって、分が悪いと見たか、カラスは西へ退却。トンビは溜飲を下げたようにしばらく輪を描いた後、東の空へ飛び去った。
 下で口を開けて見ていた飛べない生き物も何となく納得。サバンナで美しいチーターが薄汚いハイエナの群に獲物を奪われるのが面白くないように、大空でトンビが性悪なカラスの群に追われるのも気分がよくない。で、今日のベストショットはこれ。一番身近な猛禽類、トンビはきれいな鳥なのである。
カラス攻勢
トンビ反撃