中国山地ひと巡り

 秋が深まると中国山地を当てもなくドライブしたくなる。中国山地といっても、中国道の北側の深い山々ではなく、南側に広がるよく浸食された準平原的な地域。点在する山里にはよく道が通じ、穏やかな山水の風景を楽しみつつ、のんびり車を走らせるのも楽しい。
 本日の最初の寄港地は、中国道を下りた播州山崎。やすさんのコメントに刺激されて見つけておいた川蟹料理を食べさせる店で昼食。モクズガニの香りたっぷりの蟹飯と蟹の卵入りの味噌汁。ちょっと味が濃いめなのも里びてよろし。

 続いて、少し西に走ってから南下して、道路地図の慫慂に引かれて富満(とどま)高原へ。スプリング8で有名な播磨科学公園都市の手前で右に折れ、幾つかの小さな集落を縫う道を行く。高原というほどは広々していないが、標高300mほどの山地が穏やかな起伏で広がる。そうした集落の一つに萬勝院というお寺があり、ボタンの名所として有名。立ち寄ってみると、境内はブロック3段分ほど土を盛り上げたボタン畑で占められ、たくさんの木が来春の開花に向けて早くも眠りについていた。周囲の民家にも人の気配がなく、山里自体がまどろんでいるよう。

 山を下って地図を検分すると、去年の暮れに見つけた吉永町レンガ広場という面白いスポットが意外に近い。そこを最後のあてに、上郡に出て、さらに西に車を走らせる。地元の耐火煉瓦会社の気前のいい見本園。レンガ住宅あり、教会風ホールあり、茶室ありで、以前より施設が増えて、訪れる人も増えているよう。折しも一角で親子のイベントのようなこともやっている。レストランに入ると、食事は5時半からということなので、お茶を飲んで休憩。以前、社長の道楽と断じたこの不思議なパークだが、それなりに様になってきているみたいだ。けど、このレストランにしたって、採算は取れてるんだろうかなあ。無くならないうちに、「イタリアで修行を積んだシェフが焼く煉瓦窯焼きピザ」というのを一度食べてみたいもんだ。

 備前インターから山陽道で帰る。ETCの通勤時間帯割引が使えた。土産は道端で農家のおばさんたちが売っていたぷっくり肥えた黒豆の枝豆。