ビレア・秋の陽


Rhododendron vireya 'Simbu Sunset'
 秋咲きした熱帯シャクナゲのビレア'シンブ・サンセット'。寒さはもちろん暑さも得意ではない木で、遮光の下で夏越しさせたけれど、やはり弱ったらしく蕾はこれ一つだけ。この先、大変な冬越しがあるし、来年5月にまたこの夕陽色の花が見られるかは、はなはだ心もとない。液肥有機肥料で体力をつけさせないと。
 夕陽色といえば、午後、近所のスーパーに行く途中、まださほど傾いてない陽が、ガラス越しに頬に差して熱いほど。空気が澄んで、近くの山が陰影深くくっきりと秋空に浮かぶ。こんな時に写真を撮ったら、風景は眼で見る以上に秋の陽に赤く染まって写るものだ。
 そういえば芭蕉の名句、
  あかあかと日はつれなくも秋の風
の「あかあか」は、夕陽の形容だと考えがちだが、そうではなく、秋の昼間の陽差しの容赦なくダイレクトな様子を言ったものだという。だから赤々ではなく明々。けれどそこには、秋の陽が含むこの目に見えない赤色の気配も、みごとに詠み込まれているような気がする。