山の実いろいろ

 秋の高山の楽しみの一つは、食べられる木の実を見つけて、一つ二つ頂戴しつつ行くこと。白山の室堂から南竜ヶ馬場へ下るトンビ岩コースでも、幾種かの小さな漿果が登山道の脇にたくさん実っていて、写真を撮ったり摘み取ったりするのに忙しかった。以下、白山の秋の実の小図鑑。
クロウスゴ アルプスでも白山でもよく見る実。1mほどのツツジ科の灌木のベリー。実の形も色もブルーベリーを小さくした感じ。甘いけれど種が多い。
オオバスノキ たぶん。一見クロウスゴに似た樹だけど、葉が尖っている。実もよく似ているが少し苦みあり。葉は紅葉して山肌に彩りを添える。
ヒメウスノキ これも上2つとよく似ているが、実はきれいなルビー色。あまり見ない木で、実付きも少ないが、甘く美味。
シラタマノキ 名前の通り真っ白な実。サロメチールの匂いと甘い味。美味くはないが、たまに口に含んだら面白い。
コケモモ 苔のように地を這う低木。真っ赤な小さな実。熟したのは甘酸っぱい。
クロマメノキ 岩を覆うように生えていることが多い。実は大きく甘酸っぱく美味しい液果。別名アサマブドウ。大きな株にたくさん実がついているのを見ると、思わず立ち止まって収穫に励んでしまう。
ベニバナイチゴ ここまでは全部ツツジ科のベリー。山の苺でこの時季まで残っていたのはこれだけ。大きな液果でいかにも美味しそうだが、食べるとにが〜。誰もが一度は騙される。
 おまけ。下った別山の千振尾根の下部で拾った栃の実。谷沿いの道には栃の素晴らしい大木が立ち並んでいて壮観。黒光りしてきれいだったので思わずポケットに入れてしまったが、あく抜きが大変で、とても食べるまではいかない。艶のある丸い実も、しばらく置いておくと皺が寄ってがっかりさせられる。