コストコ

 結局9月の貴重な2連続3連休は、どちらも中部の空模様がパッとせず、山へは行けず仕舞い。週間予報では今週末も芳しくない。こうなったら上天気の週日に出掛けてやるか。本日の振替休日も時たま雨のパラつく天気だが、一日犬と垂れ込めているのもシャクなので、気晴らしの買い物。爛熟した資本主義社会では、大規模スーパーはテーマパークに匹敵する娯楽施設なのである。人々は膨大な商品の集積の間をさまよい歩くことで心を満たす。
 尼崎にアメリカのスーパーマーケットのスタイルをそっくりそのまま持ってきたという店があるので、1時間ほどかけて出掛ける。店の作りは巨大な倉庫そのもので、商品が山積みにされた天井まで届きそうな棚の間を、バカでかいカートを押して客が右往左往する。カートがでかいのは商品の一つ一つが大きいからで、食品も日用品もみんな一単位がアメリカンサイズ。バケツみたいなアイスクリーム、丸太ん棒みたいなハム、缶詰も砲弾サイズ。肉売場には嫁さんの腿ほどのアメリカ牛の肉塊が危険な魅力を放っている。日本製の商品も普通の数倍ほどのサイズで売られている。ここは巨人の館か。
 サイズもサイズだが値段も相応なので、ほんとうに得なのかどうかは判然としないが、量の魅力に圧倒されて、ついついカートに放り込んでしまう。店内を見ていると、実演販売やフードコーナーにいる店員のスタイルや言動にも、変にアメリカンなさばけた雰囲気があって面白い。それに外人の客の多いこと。彼らは国が懐かしくなったらここに来て、チマチマした日本のスーパーでは簡単に満たされない豪快な購買欲と食欲を満足させるんだろうな。
 この店のもう一つの魅力はフードコーナーにあって、種類はホットドッグ・肉包みパン・ピザ・クラムチャウダー、アイスクリームとシェイクぐらいだが、ここでも一つ一つが具だくさんのアメリカンサイズ。食べ物を買えば飲み物は飲み放題で、軽い昼食のつもりが晩飯に匹敵するカロリーを摂取して腹を鼓しつつ店を後にすることになる。このチマチマ国において、すべての面であくまでバカでかアメリカ流を貫くこの店のスタイルは実にあっぱれ。ここはいわば国内で流通における海外体験ができる異文化空間。それだけに日本の食品流通の割高さも実感できる。反面、地球の資源の何分の1かを一国で費消するアメリカの放漫な消費スタイルを実感できる場でもある。とにかく、これだけは言えるな。日本のスーパーがみんなこんな調子になったら、一億総メタボだわ。
Costco尼崎
これだけで大人2人が満腹