限界点

北極の氷、…1カ月で日本列島3個分減る(asahi.com)
 北極の氷が減りまくっているらしい。30年前には700万平方キロあったのが今は400万ちょっとだという。融けた氷はどこにいったのか。もちろん水になって海に入る。海の氷が融けた程度ではあまり大きな影響はないのだろうが、地上の氷床や氷河が融けることで海面が上昇する。ツバルを初め海に沈む国が出てくる。もちろん温暖化は海面上昇だけでなく、さまざまな不都合を地球上の生き物にもたらすだろう。けど、最新の学説は北極圏の氷が融けることから始まる思いも寄らない大異変を予測し始めているらしい。
 ウォーレス・ブロッカーという学者が唱えた海洋ベルトコンベア理論というのがあって、地球の海には一本のベルトコンベアのように海水の大循環があるという。それが熱帯の熱を北半球に運ぶことで現在の気候が成りたっている。そのベルトコンベアの循環の起点は北大西洋にあって、そこで海水の塩分濃度が高まり密度が上がって、深海へ沈み込み大西洋を南下する循環が始まる。→リンク1 リンク2
 ところが、このまま温暖化が続いて、北極の氷がさらに融け続ければ、塩分濃度の薄くなった北極海の水が北大西洋に流れ込むことで、このベルトコンベアが止まってしまう事態が予想されるというのだ。その時何が起こるかというと、熱帯の熱が北半球に運ばれなくなり、北半球は急速に寒冷化し平均気温が7・8度も低下する。つまり地球温暖化は意外にも氷期の再来をもたらすというのだ。
 この理論が正しいのかどうか、また正しいなら北大西洋の海水はいつ循環を停止する限界点に達するのか、我々には分らないし、多くの学者にもはっきりしないに違いない。ただ、過去1万年の人類繁栄の揺りかごになった穏やかな気候が、地球の歴史からすれば例外的な期間で、それ以前には長く続いた氷河期や激烈な気候変動があったと聞くにつけ、また最近の気候の変調を見るにつけ、今や人類の未来には何の保証もないことを感じないわけにはいかない。