盛夏

 こんなに夏らしい夏は何年ぶりだろうか。梅雨が明けても不安定な天候が続き、なかなか登山のチャンスが見つけられない夏がここ何年か続いていたのに、今年は遅い梅雨明けとその後の台風以降、ここまで申し分のない、というよりもお釣りが来るような過剰な夏空が続いている。午前中は晴れていても午後になるとガスが沸き、展望が閉ざされるのがこの季節の山の常だが、今年は、先日の御嶽もそうだったが、午後にも夏空はあまり陰らないよう。盆休みはたくさんの登山者が素晴らしい思い出を刻んだことだろう。
 ただこの安定した夏空もそろそろ一段落のようだ。今週末には天気が崩れ、その後はもうこんな夏は戻ってこないだろう。ここ数日の殺人的な酷暑に耐えていた平地人としてはホッとする予報だが、週末にもう一山と考えていた登山者としては機を逸したかという気分。来週以降は予報に一喜一憂する日々が続きそうだ。まあ、盛夏の山は逃しても、晩夏・初秋のアルプスも静かで詩的でいいもの。いい日を慎重に選んで、テントを背負うことにしよう。