敗戦記念日

 正午からBShiでやっていた「あの日、世界は何をめざしていたのか」というドキュメンタリーは、日本の敗戦前後のアジア諸国と米ソの動きを丹念に追った3時間近い力作だった。今度アナログで再放送されたら録画しておかなくちゃ。
 日本のポツダム宣言受諾は、8月10日、既に海外向け短波放送で「国体護持」の条件つきで表明されていた。その情報はたちまち世界に広がり、日本占領下のアジアの国々では独立に向けた動きが一気に噴き出す。番組ではインドネシアベトナム・中国・朝鮮の独立運動家たちの行動が、関係していた人たちの証言によって紹介されていたが、日本にとっての戦いの終わりは、これらの国々では長い戦いの始まりだったわけだ。
 もちろん、アジア諸国だけでなく、戦後の米ソのアジアを舞台にした覇権争いもここから始まるし、アジアを分割植民していた旧宗主国も再び甘い汁をめざして舞い戻ってくる。そして、独立戦争や内戦、冷戦の代理戦争と、悲惨な戦いが続き、今もその火種は朝鮮半島に残る。その間、日本はアジアの政治から退場したまま経済に邁進してきたわけだが、この番組を見ると、旧帝国の罪業は今もアジアに影を落としていると感じないわけにはいかなかった。