二重山稜

 昨日のニュースでは北アルプスの小蓮華山が3mほど陥没してしまっているとか。稜線に沿って亀裂が走っているということだから、山頂が二つに裂けかけているということだろうか。記事には新潟県の最高峰なんて書かれているが、登山的には白馬大池から白馬岳に続く長い稜線の1ピークに過ぎないから、「ふーん、そうなの」という程度の感想がせいぜいだが、地学的には興味深い現象なのではないだろうか。
 素人なりに推理してみると、この現象は、二重山稜形成の初期現象ではないかと思うのだ。二重山稜というのは山の尾根の片側がずれ落ち、縦に二つに割れて、間に窪地や平地ができているような地形。各地の山に見られて、南アルプスの上河内岳から仁田岳にかけてのダケカンバと這い松に縁取られた広々した窪地状の草原の尾根が印象に残っている。鈴鹿や大峰にも船窪などと名のついたこの地形があって、いい幕営ポイントとして親しまれている。
 当の小蓮華山の尾根続きにも二重山稜状の地形は発達していて、これは白馬の下りから小蓮華山方面を写したもの。遠くのピークが小蓮華山で、手前に大きく凹んでいるのが二重山稜地形、中景にも小さめのものが見られる。小蓮華山でも将来こういう地形になるのかもしれない。ただ、東側がかなりの断崖になっているので、稜線の片側がいっきに崩落する可能性もあるのかも。
 思えば白馬や雪倉・朝日などの北アルプス北部もしばらく訪れてない。小蓮華陥没の見物かたがた、また歩いてみるのも面白そう。