古楽器のシューベルト


 最近執心のシューベルトの後期ピアノソナタの新しい入手盤。アンドレアス・シュタイアーが古楽器フォルテピアノで弾いた、ちょっと毛色の変わった19・20番ソナタ古楽器演奏の例にもれずいきいきとした印象の演奏だ。特に早く強く弾く部分はすばらしい躍動感にあふれている。ただ、弱奏の部分では、現代のピアノに比べてくすんで輝きに欠ける古楽器の音が気になる。シューベルトの流麗なメロディにはやはり現代のピアノがふさわしいような。もちろん演奏全体の躍動感は、オーケストラの場合と同じように、古楽器だからこそ、ということもあるのだろうが。内田光子のパッションにあふれた演奏と聴き比べてみるのも面白そう。