鉄斎・蓮月

 新学社という学習教材の出版を専らとしている京都の出版社があって、近代浪漫派文庫という不思議なシリーズを出している。その第2巻の「富岡鉄斎大田垣蓮月」は、手軽に入手できる、この縁深い画人と歌人のコンパクトな著作集だ。特に、杉本秀太郎の『大田垣蓮月』などを読んで、蓮月尼の歌をまとめて読みたくなった人にとっては、高価な『蓮月尼全集』に代わる嬉しい一冊。もちろん鐡齋の詩文集としても超貴重な存在。たぶんそんなにたくさん刷られていないだろうから、買っておくなら今の内?
 鳴せみのこゑのしぐれにゆめさめてひるね涼しきもりの下かげ