北の庭

 NHK教育趣味の園芸40年特集番組というので、北海道の花の名所が紹介されていた。中でも印象に残ったのが、旭川の「上野ファーム」という個人の庭。今では有名になって苗屋も併設し、プロのガーデンになっているようだが、元は十数年前に農家の主婦が始めた庭だったらしい。この庭、さすがに気候の冷涼な北海道だけあって、植栽だけ見れば、本場英国の宿根草ガーデンと遜色ないんじゃなかろうか。特にホームページにある「ミラーボーダー」と名づけられた庭の写真など、イギリスの有名な庭園のボーダーもかくやという見事さだ。もちろん、それに古色豊かな屋敷やレンガ塀、手間と年月をかけた生け垣や芝生、そしてピクチャレスクな置物や池などが加わることで、本場の庭は格段に見事な空間になるわけだが、それはこの国では無い物ねだり。ボーダー花壇の四季の移り変わりの、梅雨や高温多湿に痛めつけられない悠々とした様子など、羨ましくて溜息が出る。それにやっぱり、高性宿根草の花壇はこれぐらいの広さがないとなあ。猫の額とは言わないものの、虎の額程度の庭ではしょせん高望みか。