風蘭

Neofinetia falcata
 梅雨明けを待っていたように、木槿の枝に吊るした風蘭が咲き始めた。長い距が特徴の純白の小さな花だが、清香という表現がぴったりの清々しい匂いがする。毎年、花時には玄関の横に吊るして、出入りの度にただよう芳香を楽しんでいる。花の香に様々あれど、その最も高貴なものは風蘭だと言いたい。藤井竹外の詩に言う如く、人知れず深山幽谷に香るのがふさわしい、仙境の蘭なのだ。
 ○蘭
 幽香 深く自ら秘す
 空谷 孤根を托す
 君に嘱す 唯一語
 また人門に當るなかれ