ハクサンフウロ


Geranium yesoense var.nipponicum
 種から育てたハクサンフウロ。日本に自生する代表的なゲラニウムの一つ。白山で最初に発見された、白山の名を冠した数ある高山植物の一つでもある。もちろん白山だけでなく、本州中部以北の高山・亜高山に広く分布する。去年10月下旬に登った福井の荒島岳にも咲き残りの株があって驚いたものだった。地理的には滋賀県伊吹山が南限らしいが。
 高山に登ればいつも登山道を彩っている花だけれど、一番印象が強いのは、名前に引きずられたわけではないが、やはり白山のハクサンフウロ。南竜ヶ馬場のテント場の周囲には大きな群落があって、特にトイレ舎の周りで(富栄養?)、みごとな株が一面に花を着けていたのを思い出す。
 うちの花は4年前に白馬岳に登った時、帰りに下った鉱山道の神ノ田圃のほとりで採種したもの、といえば山好きの人は「ああ、あんな所で」と思うに違いない。北アでもちょっと辺鄙な場所が故郷だ。ポケットに入れて持ち帰った種を播いておいたら、翌春発芽して今年で開花2年目。4鉢ある株はまだ4号鉢の大きさだが、去年の夏も特に弱る様子なく乗り越えて、今年も青みがかったピンクの、花弁の縁が少し波うった花を幾つも咲かせた。咲き終わった後には種もできているので、また増やして庭にも広げてみるかな。神の田圃の白山風露。