ナニワイバラ

Rosa laevigata
 モッコウバラと並ぶ、うちのフェンス用バラのもう一方の雄、ナニワイバラが満開だ。これも中国原産の原種バラなのだが、宝永年間に大阪の商人が輸入して広めたことからこの名がついたという。アメリカでもチェロキー・ローズなどと現地の名で呼ばれて、ジョージア州の州花になっているから、どこの土地にも溶け込んでしまうバラのようだ。事実、日本の南部やアメリカには自生しているものも多いとか。純白の大きな真ん丸い花弁と金色の蕊の花容は、あっけらかんと原種バラそのものの形。モッコウバラにはない芳香というか独特のスパイシーな香りもあって、このバラの垣根は季節には楽しい。フェンス際においたベンチに座っていると、小蝿・蜜蜂・ハナムグリ…、香りに引き寄せられた虫の羽音がずっと響いて、嗅覚だけでなく聴覚もくすぐられる。モッコウバラにはない強力な棘が、少々剣呑ではあるが、それと常緑の葉ゆえに、やはり垣根に上々のバラなのだ。