親指シフトキーボード


 愛用している親指シフトキーボードのタッチが、最近渋くなってきた。肝心のエンターキーの調子がいま一つなのだ。この型番KB-211のキーボードは、最初に買ったDOS/Vパソコンからずっと使っている機種で、これが確か3台目。未使用品をオークションで手に入れたものだが、製造は1995年と相当古い。この機種は廃番になって久しいので、もう中古品以外入手することは難しいだろう。人の手垢のついたキーボードを使うのは抵抗があるので、たぶん4台目はない。代わりの親指シフトキーボードが富士通から出ているものの、キー配列に違いがあって、簡単に乗り換える気にもなれない(後退・取消・エンターキーの配置がネック)。慣れ親しんで身体に染みついたキー配列をすてて、わずかな変化とはいえ別の環境に移行するのが億劫なのだ。人は日常の道具に関してはきわめて保守的なものなのだ。
 親指シフターの強い味方アクセスさんのお蔭で、去年から念願の親指モバイルが道具に加わった。こちらの方は絶好調だが、じっくり作業をするのは小さなノートではしんどい。幸か不幸か、連日キーを叩き続けなければならないような景気のいい話は最近とんとご無沙汰とはいえ、あと何年かは細々とこんなことを続けていくのだろう。今や唯一無二の存在になったKB-211との幸福な親指環境は、さていつまで続くだろうか。