一騎当千

 出かける度に出し入れを繰り返すので、部屋はいつも片づかない。ボンベが転がっていたり、マットが収納からはみ出していたりする。でも、一つ一つがなくては大弱りするもので、使いやすさや丈夫さ、軽さなどを考慮して吟味したものだから、日常の道具以上に愛着は深い。そして使う度に汚れや傷とともに思い出がこびりつくから、愛着はますます深まる。山道具の話だ。パッキングの途中で手を止めて、小さなバーナーヘッドの黒光りする姿を愛でたり、コッヘルの底を撫でてチタンの変色具合を確かめたり…。そんなことをやっているのは、自分だけではないと信じている。
 明日は今年最後の日本アルプスだ。