五条坂陶器市


 日曜は雨を侵して京都に出かけた。目的は折しも五条坂で開かれている陶器市をのぞくこと。大昔に読んだ京都案内で、京の人々が日常使う食器を購うのに重宝している夏市、と教えられて以来、一度行ってみたいと思いながら、これまで果たせずにいた。いつもの四条烏丸の駐車場に駐めて、ぶらぶら町歩きを楽しみつつ五条坂に向う。雨は上っているものの、さすがに京都は蒸し暑く、歩いているだけで汗が吹き出してくる。
 五条大橋を渡ると広い五条通の両側に市が出ている。東大路通との交差点までの間を、坂を往復して出店や店頭の陳列を見て歩く。う〜ん、期待していたのとかなり違うなあ。品揃えを見ていると、市民の日用品というよりも、観光客の土産向けという雰囲気が濃い。かつては、訳あり品などが安く出ていたそうだが、そんな様子もない。どうも京都市民のための陶器市が、いつからか観光客向けにシフトしてしまったみたいね。まあ、我々も観光客ではあるのだが、普段使いの食器には値段も意匠もそぐわないものが多いので、途中で雨が降り出したこともあって、結局何も買わずに終った。
 せっかくここまで来たのだからと、清水寺に向けて坂を上り、三年坂・二年坂と下って、四条通に戻るコースをとる。三年坂の途中の茶店で一息入れてから二年坂にかかると、ともり始めた灯が雨に濡れた石畳に映ってなかなかいい雰囲気だ。ここも両側の店のほとんどは念入りに新調されてはいるものの、どこか薄っぺらな表情に変わってしまっているのだが、夕暮れがそれをめだたなくしている。それにしてもこの辺りはまだ電線が地中化されてないのね。若者だらけの四条通を抜けて車に戻り、名神の混雑を嫌い丹波を通って帰った。

灯の入った二年坂

路地の奥に八坂の塔